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2024.04.23

第55回星雲賞参考候補作に東京創元社の作品が多数選出されました

4月23日(火)に第55回星雲賞の参考候補作が発表されました。同賞は、日本SF大会参加登録者によるファン投票で決定される、優秀なSF作品およびSF活動に贈られる賞であり、日本のSFおよび周辺ジャンルのアワードとしては最も長い歴史を持つ賞です。

 

第55回星雲賞の投票は4月23日~5月31日におこなわれ、受賞作の発表と贈賞式は7月6日に第62回日本SF大会「やねこんR」(会場:長野県 白樺リゾート池の平ホテル)でおこなわれる予定です。詳細は下記リンク先をご確認ください。

 

第62回日本SF大会「やねこんR」
第55回星雲賞 参考候補作一覧ページ

 

今回、東京創元社の刊行作品で選出されたのは、以下の作品です。

 

【日本短編部門】

わたしたちの怪獣

●久永実木彦「わたしたちの怪獣」/『わたしたちの怪獣』(創元日本SF叢書)
わたしは踏みつぶされるかもしれない。ミサイルに焼かれるかもしれない。それでいい。一番の怪獣は、わたしなのだから――。

高校生のつかさが家に帰ると、妹が父を殺していた。テレビからは東京湾に怪獣が出現したというニュースが流れている。つかさは妹を守るため、父の死体を棄てに東京に行くことを思いつく──「わたしたちの怪獣」
伝説的な“Z級”映画の上映中、街にゾンビが出現。一癖も二癖もある観客たちは映画館内に籠城しようとするが――「『アタック・オブ・ザ・キラー・トマト』を観ながら」ほか、時間移動者の絶望を描く「びびび・びっぴぴ」、吸血鬼と孤独な女子高生の物語「夜の安らぎ」の全四編を収録。
『七十四秒の旋律と孤独』の著者が描きだす、現実と地続きの異界。

 

 

ときときチャンネル 宇宙飲んでみた

●宮澤伊織「宇宙飲んでみた」/『ときときチャンネル 宇宙飲んでみた』(創元日本SF叢書)
配信サービスで《ときときチャンネル》を始めた十時(ととき)さくらは、同居人のマッドサイエンティスト・多田羅未貴(たたらみき)の発明を紹介し、収益化することを目指す。宇宙を飲んで、時間を飼って、目指せチャンネル登録者数一〇〇〇人! 全編配信口調と視聴者コメントで語られる、新感覚の配信者SF!

 

 

 

 

 

【海外長編部門】

文明交錯

●ローラン・ビネ/橘明美訳『文明交錯』(海外文学セレクション)
インカ帝国がスペインにあっけなく征服されてしまったのは、彼らが鉄、銃、馬、そして病原菌に対する免疫をもっていなかったから……と言われている。しかし、もしも、インカの人々がそれらをもっていたとしたら? そしてスペインがインカ帝国を、ではなく、インカ帝国がスペインを征服したのだとしたら、世界はどう変わっていただろうか? 『HHhH――プラハ、1942年』『言語の七番目の機能』で世界の読書人を驚倒させた著者が挑んだ、大胆かつ魅力溢れる歴史改変小説。常に事実とフィクションについて考え続けるローラン・ビネならではの傑作。アカデミー・フランセーズ小説大賞受賞。

 

 

 

人類の知らない言葉

●エディ・ロブソン/茂木健訳『人類の知らない言葉』(創元SF文庫)
近未来。人類は音声ではなくテレパシーを用いて会話する異星文明ロジアと接触し、友好的な関係を築いていた。思念通訳士リディアはロジ人の文化担当官フィッツの専属通訳を務めていたが、通訳の副作用で酩酊に似た状態になっているあいだに、フィッツが何者かに殺害されてしまう。重要容疑者にされたリディアは、自ら捜査をはじめるが……。全米図書館協会RUSA賞SF部門受賞作。

 

 

 

 

【海外短編部門】

ロボット・アップライジング

●アレステア・レナルズ/中原尚哉訳「スリープオーバー」/『ロボット・アップライジング AIロボット反乱SF傑作選』(創元SF文庫)
人類よ、恐怖せよ──猛烈な勢いで現代文明に浸透しつつあるAIやロボット。もしもそれらがくびきを逃れ、反旗を翻したら? ポップカルチャーで繰り返し扱われてきた一大テーマに気鋭の作家たちが挑む。1955年にAI(人工知能)という言葉を初めて提示した伝説的科学者ジョン・マッカーシーの短編を始め、アレステア・レナルズ、コリイ・ドクトロウらによる傑作13編を収録。解説=渡邊利道

 

 

 

 

星、はるか遠く

●フレッド・セイバーヘーゲン/中村融訳「故郷への長い道」/『星、はるか遠く 宇宙探査SF傑作選』(創元SF文庫)
いつの日にか人類は、生まれ育った地球をあとにして、宇宙の深淵へ旅立ってゆく。そのとき彼らが目撃するものは──。SFは1世紀以上にわたって、そこに待ち受けるであろう、想像を超えた驚異をさまざまに物語ってきた。その精華たる9編を収録。舞台となるのは、太陽系外縁部の宇宙空間、人類が初めて出会う種属の惑星、あるいは文明の滅び去った世界。本邦初訳作2編を含む。編者あとがき=中村融

 

 

 

 

最後の三角形

●ジェフリー・フォード/谷垣暁美訳「エクソスケルトン・タウン」/『最後の三角形 ジェフリー・フォード短篇傑作選』(海外文学セレクション)
アコースティックギターの調べは、ぼくの目の前に金色の雨として現われる。指で絹をなでたときには、レモンメレンゲの風味とねっとりした感触を舌に感じる。ぼくは「共感覚」と呼ばれるものの持ち主だった――コーヒー味を通してのみ互いを認識できる少年と少女の交流を描くネビュラ賞受賞作「アイスクリーム帝国」、エミリー・ディキンスンが死神の依頼を受けて詩を書くべく奮闘する「恐怖譚」、マッドサイエンティストが瓶の中につくりあげたメトロポリスの物語「ダルサリー」、町に残される奇妙なしるしに潜む魔術的陰謀を孤独な男女が追う表題作ほか、繊細な技巧と大胆な奇想に彩られた全十四篇を収録する。

 

 

 

 

【ノンフィクション部門】

創元SF文庫総解説

●東京創元社編集部・編『創元SF文庫総解説』(A5判並製)
1963年9月に創刊した日本最古の現存する文庫SFレーベル、創元SF文庫。そこから現在まで連なる創元SFの60周年を記念した、史上初の公式ガイドブック。フレドリック・ブラウン『未来世界から来た男』に始まり、E.R.バローズ『火星のプリンセス』、ネヴィル・シュート『渚にて』、J.P.ホーガン『星を継ぐもの』など800冊近い刊行物の書誌情報&レビューのほか、草創期の秘話や装幀をめぐる対談、創元SF文庫史概説、創元SF文庫以外の東京創元社のSF作品にまつわるエッセイを収める。口絵には創元SF文庫の歴史を彩ってきた全作品の初版カバーをフルカラーで掲載。SFファン必携の一冊。