浪速大学ミステリ研究会の一員となった吉野桜子は、大叔父の遺言捜しを三人の先輩に依頼する。ミステリ好きだった大叔父は、マニアが喜びそうなことをしているはず……
ある男の殺害期成同盟を結んだ4名の目論見と決行の実際を描く「われら殺人者」、最後の一行へ見事に収斂する緊迫感に満ちた佳品「崖下の家」など11編。
江戸川乱歩の「一人の芭蕉の問題」を読んで感動した著者が、「文学精神と謎の面白さの全き合一を求めよう」と、推理小説の創作に取り組んだ最初期の二長編……
氷柱と綽名される男が、ある日遭遇した少女の轢き逃げ事件を契機に、情熱の赴くまま犯罪行為に手を染めていく。曠古の探偵小説『氷柱』と、入院中の元刑事が見舞客の話を聞いてベッド・ディテクティヴを務める『おやじに捧げる葬送曲』を併せ収める。……
カクテルリストの充実した小粋な店〈エッグ・スタンド〉の常連は、不思議な話を持ち込む若いカップルや何でもお見通しといった風の紳士など個性派揃い。そこで披露される謎物語と人生模様。キュートなミステリ連作集。
探偵小説の巨匠・天城俊策の一家を巡る、恋と計略と悲痛な死の謎。隻腕の青年刑事・五百村は敢然と謎に立ち向かう。戦前の名古屋を舞台に、天災人災に翻弄されながらも必死に生きる青年……
「深夜の獣魂病者」から「消しゴムお蝶」まで、二十世紀と共に生きた推理文壇の最長老渡辺啓助の全業績から選び抜いた十九編。……
4時起きで仕事に向かう拾い屋コンビがとんでもない収穫に出会す騒動記「星を拾う男たち」や、旧〈宝石〉終刊号を飾った“史上最も完全な予告殺人”を描く「極楽案内」など11編。
生誕100年を記念した100部限定の特装本。着物地を使用し、金属プレート印刷を埋め込んだ表紙は、1冊1冊趣を異にし味わい深い。それをサヤ形式の函に収めた。著者近年のリトグラフ一葉、サイン、限定番号入り。
イタズラ電話をかけた相手は、彼のことを共犯者と間違え犯罪の成功を告げる。電話の会話だけから女の正体を突き止めようとする『妻に捧げる犯罪』。田中英光の……
極悪非道な強腰で成り上がった実業家鯉淵丈夫は、過去買った恨みも数知れず。肚に据えかねた七人が鯉淵めを亡き者にしようと秘策を凝らすが……
神保町に店を構える村雲書店の跡を継ぐのは長女の婿か次女の婿か? 余命幾許もない主人が考えだした後継者選びの方法――それは十冊の稀書の収集合戦だった!
本の町神田神保町でビルの所有者でもある老古書店主が、不可解な死をとげた。貴重な古書を巡るマニアックな収集家の凶行か、地上げにからむ犯行か。同時刻に隣室で……
会社帰りの電車で思いも寄らない再会を果たした二人が織り成す、少々雲行きの怪しい友情――腐れ縁の行方を軽快な筆致で描く「親友記」など9編。
失語症状を呈し始め役者生命の危機に瀕する若手歌舞伎役者と、後ろめたさを忍びつつ夫を気遣う若妻。梨園を巻き込んだ三幕の悲劇に際会した名探偵の導く真相は?
池袋の書店を土曜日ごとに訪れて50円玉20枚を1000円札に両替する中年男の真意は? 若竹七海提出のリドル・ストーリーにプロアマ13人が……
美味しい郷土料理を給仕しながら、夫の友人が持ち込んだ問題を次々と解決してしまう新しい型の安楽椅子探偵――八王子の郊外に住む作家の奥さんが、その……
我利我利亡者の地主、不気味な絵を描く洋画家、弾けなくなった天才ピアニスト、元博徒の顔役、腺病質な少年、書かない小説家……といった人々が住む……
古書ブーム絶頂期を回想する「展覧会の客」、コレクター気質を垣間見せる「『憂鬱な愛人』事件」、電子検索をテーマに描く「電網恢々事件」の3編を収録。
金城学園大学の〈革命〉に乗り出した学生六人は、手始めに悪名高い学部長夫人をノックアウトし、意気揚々と第二段階へ駒を進める。そこへ降って湧いた……