たくらみだらけの予測不能ミステリ! 「腕貫探偵」シリーズの西澤保彦の傑作短編集
「腕貫探偵」シリーズ(実業之日本社文庫)や『七回死んだ男』(講談社文庫)でおなじみの作家・西澤保彦の短編集『赤い糸の呻き』に新オビを作成いたしました。
読者への出題編と解答編盛り込んだ「お弁当ぐるぐる」、停電時のエレベーターの中で起きた殺人事件「赤い糸の呻き」など、犯人当てから密室不可能犯罪までバラエティーに富んだ5編を収録した傑作ミステリ短編集です。全編がに読者の先入観の裏をかいて「あっ!」言わせる作品ばかり。思わず何度も読み返してしまうこと必至です。
また、本作に収録されている「お弁当ぐるぐる」に登場する音無警部を主人公とした新シリーズ『ぬいぐるみ警部の帰還』が5月に文庫化。さらに6月には続編となる『回想のぬいぐるみ警部』を刊行いたします。超絶イケメンで切れ者と知られる音無警部の頭の中は常にかわいいぬいぐるみのことで頭がいっぱい。しかし、その偏愛の観察眼が鋭く事件の謎を解き明かしていきます。脇を固める個性的なキャラクターも魅力的。ぜひ、短編集と併せて西澤ワールドをご堪能ください。
『赤い糸の呻き収録作』
「お弁当ぐるぐる」【ぬいぐるみ警部、初登場作品】
「墓標の庭」
「カモはネギと鍋のなか」
「対(つい)の住処」
「赤い糸の呻き」
【「ぬいぐるみ警部」シリーズ】
・『ぬいぐるみ警部の帰還』(5月文庫化)
・『回想のぬいぐるみ警部』(6月刊行 単行本)
(2015年4月30日)
『夜の床屋』の次はこれ!あの傑作が新カバーになって話題沸騰!
若竹七海の伝説的デビュー作『ぼくのミステリな日常』が、新カバーになって再び脚光を浴びています。ミステリファンにとって必読の一冊と言っても過言ではない傑作です。
建設コンサルタント会社の社内報に4月号から翌3月号までの1年間、正体不明の作家の短編が毎月掲載されるという設定の本書。作者の正体は編集長である若竹七海も知りません。しかし内容は抜群に面白い。小説に描かれるのは、ほんわかしたり少し怖かったりと、語り手の「ぼく」が見聞きした不思議な出来事の数々。その短編は月を追うごとに社内で大変な反響を呼び、「作者は誰だ?」の追及も熱を帯びます。そして12編すべて終わったときには……。
短編集としても楽しめるのが本書の素晴らしいところ! それぞれ違った魅力を持った、バラエティーに富んだ物語ですから、きっとあなたの心に残る一編が見つかるはずです。しかし本書はそれだけで終わる作品ではありません。一見なんのつながりもなかった12編が、「ちょっと長めの編集後記」以降でひとつの長編に姿を変えるのです。その衝撃はここでは語れません。ぜひお手に取ってご自身で体感してください!
(2015年3月31日)
たちまち重版!平成のエラリー・クイーン、衝撃のデビュー作が文庫化!
第22回鮎川哲也賞を受賞した青崎有吾『体育館の殺人』が大幅改稿し文庫化となりました。著者の青崎有吾さんはなんと大学に在学中に本作でデビュー。現在、短編集を含め3作シリーズ作品を刊行。若い感性と本格ミステリの伝統が合わさった学園ミステリの新旗手として注目を集めています。
学校内で起きた殺人事件。犯行可能なのは体育館にいた運動部員のみ。しかも、その時間は体育館は密室状態だった……!? 謎を解く鍵は残されていた1本の傘。探偵役を担った裏染天馬(うらぞめ・てんま)の推理が導き出す意外な犯人とは?
オーソドックスな問題定義に、ユーモラスなキャラクターを加え、真向に謎解きに向かう姿勢はエラリー・クイーンを彷彿させる論理展開です。文庫化にあたり「読者への挑戦」を収録。たちまち重版となった面白さは、鮎川賞受賞時の選考委員の先生方もお墨付きです。ぜひ、お手に取ってみてください。
【選考委員、絶賛!!】
・芦辺拓 学園を舞台にしたミステリだから、校内で殺人を、しかも不可能犯罪を起こす。当たり前のようでいて、なぜか最近巧妙に避けられている気がする展開に、堂々と挑んだ姿勢に拍手したくなりました。
・北村薫 クイーンに対する敬意が、はっきりとうかがえ、その点で実に嬉しい作品だった。劇場に残された帽子から推理を組み立てるように、何でもない傘一本から、あれこれ考えていくやり方には、読んでいて、にこにこしてしまった。
・辻真先 中村青司建築シリーズのパロディとわかったときには笑わされました。たぶんこの作品名が、作者が構想したときのイメージを、いちばんすんなりと読者に提示しているのでしょう。
〈裏染シリーズ〉好評既刊
・水族館の殺人
・風ヶ丘五十円玉祭りの謎【短編集】
(2015年3月31日)
このミステリ新人作家がすごい! 注目作家のデビュー作が文庫化
第5回ミステリーズ!新人賞受賞作、梓崎優『叫びと祈り』と競り合い、惜しくも受賞を逃した市井豊のデビュー作『聴き屋の芸術学部祭』が待望の文庫化となりました。その完成度は高く、ミステリーズ!新人賞の選考委員各氏からも絶賛されていたことが頷ける出来栄えです。
どんな相手からも話を聴かされてしまう「聴き屋」体質の大学生・柏木君。変人が集うと言われる芸術学部の文芸サークルに第三部〈ザ・フール〉に所属する彼のもとには様々な話題と謎が集まってきてしまう。成り行きで謎解きまでさせられる羽目になる柏木君の推理とは……?
結末が欠けた戯曲の謎の解明を演劇部の主演女優から柏木君が強要される「からくりツィスカの余命」は一読の価値ありです。聴き屋の柏木君ほか、誰よりもネガティブな性格の先輩、推理マニアの美男子学生作家など、愉快な面々が謎解きを繰り広げる快作をぜひお手に取ってみてください。
そして、長らくお待たせしました!待望のシリーズ第2弾『人魚と金魚鉢』(ミステリ・フロンティア)も2015年2月に刊行いたします。読み終えた後に爽やかな余韻の残る表題作や聴き屋だからこそ解けなかった謎など、ますます面白さが際立つこちらもぜひ、合わせてよろしくお願いいたします。
「聴き屋」シリーズ第2弾
・人魚と金魚鉢(ミステリ・フロンティア)【2015年2月27日刊行】
「聴き屋」シリーズ収録、学園ミステリ・アンソロジー
・放課後探偵団
(2015年2月27日)
話題の人気作家が贈る18のふしぎな物語
『青空の卵』(創元推理文庫)でデビューし、『和菓子のアン』(光文社文庫)や『ワーキング・ホリデー』(文春文庫)など、あたたかな筆致の作風で人気を博す坂木司が今回お贈りするのは──ブラックなユーモアが散りばめられた作品から、どんでん返しが待ち受けるサプライズ・ストーリー、そして切なく優しい物語までバラエティ豊かなショート・ストーリーを集めた短編集。たった数ページで、あなたをゾクッと(そして程よくニンマリと)させることをお約束いたします。
バスの車内で静かに熾烈に繰り広げられる「勝負」や、住人の日常を見守るけなげな「洗面台」の独白、「鍵のかからない部屋」から出たくてたまらない“私”の物語など、18のふしぎな物語をお楽しみください。
せっかくなので、中でも「こわ〜い」一編をご紹介しましょう。あの人のため、せっせと料理を作り続ける語り手。その献身的な調理の様子を丹念に描くところから始まる「ぶつり」、今ならなんと!下記リンクから無料でお読みいただけます。まずは読んでみるべし、です!
【ためし読み】収録作「ぶつり」【Webミステリーズ!】
【坂木司 好評既刊】
著者デビュー作にして人気の〈ひきこもり探偵〉鳥井と親友の坂木が活躍する〈青空の卵〉シリーズ
・青空の卵
・仔羊の巣
・動物園の鳥
『和菓子のアン』にもつながるクリーニング店を舞台に描かれるハートフルミステリ
・切れない糸
(2015年2月27日)
直木賞受賞作家・芦原すなおが描く最強の女探偵
依頼は選り好みし、どんな相手にも媚びず、斜に構えてシニカルかつクールに立ち向かう女私立探偵、笹野里子。その生き様に男女問わず憧れます。そんな魅力的な女探偵を描いた『雪のマズルカ』を激押し中です!
夫が残したものは、未払いの家賃、調査資料とリボルバー、そして苦い思い出だけ。不慮の死を遂げた夫の跡を継いで探偵業を始めた笹野里子の下に訪れる依頼人は、どれも一筋縄ではいかない難物ばかり。実業家の孫娘をめぐる陰謀や有名女優の素行調査。事件はいつも思わぬ方向へ彼女を誘う。夫の幻影を引きずりながらも、華麗に力強く立ち回る彼女の魅力が詰まった4編。『青春デンデケデケデケ』で直木賞を受賞した芦原すなおが描く、最高に恰好いい女私立探偵を、新カバーで絶賛発売中!
そして、来月2月中旬には待望の続編『猫とアリス』も刊行!! パワーアップした最強の女探偵にどうぞご期待ください。
【シリーズ最新刊】
・猫とアリス【2月21日刊行予定】
【芦原すなお 好評既刊】
どんな難事件も見事解決!台所探偵の事件簿《ミミズクとオリーブ》シリーズ
・ミミズクとオリーブ
・嫁洗い池
・わが身世にふる、じじわかし
(2015年1月30日)
年末ベストで上位ランクイン! 最高に格好いい、87歳伝説の元刑事
今年注目の海外ミステリとして猛プッシュしたいのが本作ダニエル・フリードマン『もう年はとれない』です。
主人公のバック・シャッツは殺人課の元刑事。近頃は自分が認知症を患っていないかと気にかけながら過ごしている。そんな彼の元に旧友の危篤が知らされた。自分を呼んでいると、しぶしぶ腰を上げ、今際の際にある旧友の告白に付き合うことに。
戦時中、自分を痛めつけたナチ将校が実は生き延びていて、さらに大量の金塊を隠し持っているだろう、と。なぜそんなことを知っているかと言えば、旧友自身が金塊と引き換えにその将校を見逃した経緯があったからだった。自らの罪を告白し、赦しを乞おうとする旧友に、バックは苛烈に言い放つ。
「地獄があるなら、おまえら二人一緒に落ちろ」
痛烈な皮肉と刑事時代に磨かれた勘(いまはだいぶ鈍ってきている?)で、ナチ将校の行方と隠し持っている金塊を探す事になったバック。最新のツールを駆使して真実に迫る孫と経験則で動こうとするバックの対比も愉快。やりたい放題のバックですが、ふといまの自分は認知症による妄想で捜査を進めているのではないと考えたり、これまでのように振舞えない事に落胆しながらも折り合いをつけて生きていく様は格好良く胸を打ちます。また、バックの唯一の弱点は奥様。どんな皮肉を言おうとも軽くあしらう奥様に頭が上がらない、そんな可愛い一面も持ち合わせるバックに魅了されること間違いなしの1作です。
2015年にはシリーズ第2弾も刊行予定。バックは本作の中で88歳に。ますます皮肉と老いが増し、より魅力的なバックが登場することにご期待ください。
2014年ミステリ年末ベスト続々ランクイン!
*第1位『IN★POCKET』2014年文庫翻訳ミステリーベスト10/読者部門
*第4位『IN★POCKET』2014年文庫翻訳ミステリーベスト10/総合部門
*第5位『このミステリーがすごい!2015年版』海外編
*第5位〈週刊文春〉2014ミステリーベスト10 海外部門
*第5位『ミステリが読みたい!2015年版』海外篇
*第10位『IN★POCKET』2014年文庫翻訳ミステリーベスト10/翻訳家&評論家部門
(2014年12月26日)
年末ミステリベスト多数ランクイン! 『忘れられた花園』を超える傑作ミステリ
情景が目に浮かぶほど映像的な描写でありながらも、小説だからこそ楽しめる。今回はそんな傑作ミステリをご紹介いたします。生涯の一冊に数えられても不思議ではありませんので、ぜひご一読ください。
少女時代にローレルが目撃した衝撃の事件。突然現れた謎の男を母が刺し殺したのだ。その後、男が強盗事件の犯人であることが判明したため、母の正当防衛が認められたが、ローレルには引っかかっていることがあった。「やあ、ドロシー、久しぶりだね」と、あの時男が母に話しかけてきたのだ。
二人は知り合いだったのでは?なぜ母は男を殺さなければならなかったのか。
愛する母の死期が近づきつつある現在、ローレルは母の過去を調べることを決意する。知りたい、それがどんなものであっても。
ケイト・モートンは『レベッカ』や『鳥』で知られるデュ・モーリアの後継とも言われ評価の高いオーストラリアの作家です。緻密な構成と圧倒的な筆力がとにかく魅力! 本書も過去と現在が複雑に絡み合いますが、混乱するどころか、先述の通り頭の中で映像が再現されるほど鮮やかな描写です。読み進めていくうちに深まる謎に最後の最後まで読者を飽きさせないモートンの最高傑作、それが本年の年末ミステリベストランキングに多数ランクインした『秘密』です(こっそりお教えします。『このミステリーがすごい!2015年版』で本作を1位に挙げている人の数は、実は、第1位のあの作品を1位に推している人の数より多いのです!)。
上下巻のボリュームに尻込みしている方は本当に勿体ない。この本を読んだ方の感想は皆「読んで良かった、最高だった」に決まっています!読後の余韻まで素晴らしい本書で、素敵な年末年始をお過ごしください。
2014年ミステリ年末ベスト続々ランクイン!
*第2位『このミステリーがすごい!2015年版』海外編
*第2位〈週刊文春〉2014ミステリーベスト10 海外部門
*第2位『ミステリが読みたい!2015年版』海外篇
*第8位『2015本格ミステリ・ベスト10』海外ランキング
【好評既刊】
・忘れられた花園〈上〉
・忘れられた花園〈下〉
・FM横浜の『books A to Z』で紹介されました【外部リンク】
(2014年12月26日)
ファンタジーならこれを読め!傑作ファンタジーシリーズ第1作
「ミステリ、SFは読んでもファンタジーはあまり…」、「ファンタジーって何を読めばいいのかわからない」と思っていらっしゃる方に朗報です。『夜の写本師』をご一読ください! 日本ファンタジー界の歴史を塗り替え、読書界にセンセーションを巻き起こした人気シリーズ第1作です。ジャンル問わず「本が好き」という方にとにかくお勧めいたします。
女を殺しては魔法の力を奪う大魔道師アンジストの手により、目の前で育ての親を殺されたカリュドウ。呪われた大魔道師を討つべく、本に魔法をしたためる魔法ならざる魔法、「夜の写本師」として修業を積むが……。
奥深い人間ドラマと壮大なスケールに終始圧倒されっぱなし。本を書き写す「写本師」という設定が魔法とは一線を引いており、またそこが物語の核心にも大きく関わってきます。今月11月にはシリーズ2作目『魔道師の月』も文庫化し、著者の勢いは増すばかりです。今後の日本ファンタジー界を担う驚異の新人にご注目ください!
【好評既刊】
・魔道師の月
・太陽の石【単行本】
・オーリエラントの魔道師たち【単行本】
・沈黙の書【単行本】
(2014年12月4日)
人質は何万人の観客と、そして優勝者の命。若き天才テニスプレイヤーたちの熱い闘い!
今年はテニス界に素晴らしいニュースがありました。錦織圭選手が四大大会のひとつ全米オープンで準優勝し、世界ランキング上位8名の選手しか出られないワールド・ツアー・ファイナルに日本人として初出場し、準決勝まで勝ち進む快挙を成し遂げたのです。ともに歴史に刻まれる偉業ですが、そんな記念すべきできごとが起きたテニスイヤーに合わせるように(偶然にも!)復刊した本書もまた、2人の若き天才プレイヤーが死闘を繰り広げる、後世に残すべきスポーツ・ミステリの傑作です。
世界ランキング2位のオーストラリア選手・キングとソヴィエト連邦の若き王者・ツァラプキン。言葉など全く通じない2人は初めて対戦相手としてコートで向かい合い、ラリーを交わした瞬間、互いを理解し分かり合い、無二の親友となります。やがてツァラプキンは亡命し、キングのもとに身を寄せることに。純粋にテニスを楽しむことをよしとするツァラプキンと、世界ランカーに恥じない堂々たるテニスをするキング。対照的な2人はやがて、共に挑んだ世界最高峰の大会・ウィンブルドンの決勝戦での対決を迎えます。しかし、興奮が最高潮に達した試合会場では、何万人もの観衆と英国女王、そして2人の命がかかった卑劣な事件が始まろうとしていた──。
とにかく主人公の2人が魅力的で、テニスをまったく知らない人間が読んでもその面白さと興奮が伝わってきます。書かれたのは1970年代と古い作品ですが、その内容は決して古びておらず、今読んでもミステリとしても青春小説としても楽しむことができる、正真正銘の傑作です。ぜひ、この熱い感動と興奮を味わっていただければと思います。
・今月の本の話題 テニス×ミステリの大傑作、ここに復活!【WEBミステリーズ!】
・エキレビ!「絶対に負けられない」二人が繰り広げる死闘の結末…っ『ウィンブルドン』を今こそとにかくみんな買え【外部リンク】
(2014年12月4日)