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許されざる者

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CWA賞、ガラスの鍵賞ほか五冠!新たなる北欧の巨人の快進撃!

『許されざる者』

レイフ・GW・ペーション
久山葉子

CWA賞、ガラスの鍵賞などで五冠という輝かしい実績を修めた『許されざる者』が好調です。作者はスウェーデン生まれのレイフ・GW・ペーション。日本では初訳の作家ながら、発売から2ヶ月で2度の重版がかかりました。

国家犯罪捜査局の元長官ラーシュ・マッティン・ヨハンソン。現役時代の彼は並外れた推理力から「角の向こう側が見通せる」と部下たちに畏怖されていましたが、日頃の不摂生がたたって、脳梗塞で倒れ右半身に麻痺が残ってしまいます。
そんな彼に主治医の女性が25年前の未解決事件についての相談をもちかけます。9歳の少女が暴行の上殺害された事件。その犯人の正体を牧師だった父が、25年前に懺悔で聞いていたというのです。だが、事件は時効になっていました。
ヨハンソンは相棒だった元捜査官や介護士、義弟の税理士や兄の丁稚のロシア人を手足に事件を調べなおし、新たな事実が次々と明るみにでます。当時のずさんな捜査、目撃されていた一台の乗用車――。果たして彼は犯人を見つけ出し、報いを受けさせることはできるのでしょうか。

担当編集の「これは面白い!」というセリフのもと、私も実際に読んでみました。乱暴な言葉遣いながら、どこか憎めないヨハンソン。周囲の魅力的なキャラクターも相まって後半まではするすると読めてしまいます。しかし、最後の展開はあまりにも衝撃的でした。読了後には「許されざる者」というタイトルを改めて思い知らされることになるでしょう。新たな北欧の巨人の衝撃作を是非ご堪能下さい

杉江松恋/レイフ・GW・ペーション『許されざる者』解説(全文)【WEBミステリーズ!】

(2018年4月12日)

旅の終わりに

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人生最後の旅に出るとしたら、あなたは誰とどこに向かいますか? 映画「ロング、ロングバケーション」原作

『旅の終わりに』

マイケル・ザドゥリアン
小梨直

2018年1月26日より全国公開された映画「ロング、ロングバケーション」。アカデミー賞受賞俳優のヘレン・ミレンとドナルド・サザーランドが主演し、先日発表されたゴールデン・グローブ賞では主演女優賞にもノミネートされました。映画も原作と同じく、コミカルな旅路が描かれ、最後に訪れる思いけれど温かみのある結末には胸を打たれます。
80歳を迎え、認知症を患う夫のジョン。妻のエラは末期がんと診断され、子供たちからは住み慣れた家を離れ施設での生活をすすめられていた。
いま離れてしまえばきっと別々に死を迎えてしまう。2人は思い出のキャンピングカーに乗り込み、かつて幼い子供たちと一緒に旅をしたように車を走らせる事にした。目指すは思い出のテーマパーク。順調に始まった旅行は、様々な失敗が重なりつつも笑いに満ちた旅路になるのだが……。

エラは痛み止めをのみながら、ハンバーガーばかり食べたがるジョンにつきあい、ジョンは妻のエラを忘れてガソリンスタンドに置き去りにして車を走らせたり、かと思えば強盗に襲われたり……。哀しみとおかしさが交互する旅を続ける二人。キャンプ場で二人がこれまでの家族、友人、教え子たちの写真を見ながら過去を振り返る場面はとても胸にしみました。そして、最後には切なくも温かな涙が溢れる感動が待ち受けています。小説と映画、ぜひ両方を味わって欲しい感動作です。

映画『ロング,ロングバケーション』公式サイト
読んでから観ましょう。【WEBミステリーズ!】

(2018年1月30日)

雪には雪のなりたい白さがある

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あなたの会いたい人は今、どうしてますか? 涙がこぼれる5つの物語

『雪には雪のなりたい白さがある』

瀬那和章

今年、都内でも雪が降りました。積雪が20センチを超えたのは4年ぶりだそうです。
会社への電車通勤は私も億劫になりましたが、雪が降り積もる最寄り駅の風景はいつもと違って新鮮で幻想的に見えました。
今回は今の季節にもぴったりで、実在する4つの公園を舞台に描かれる『雪には雪のなりたい白さがある』をご紹介いたします。

「雨上がりに傘をさすように」(港の見える丘公園@神奈川県横浜市)
横浜での大学生活に憧れを抱き、高校を卒業後、上京し一人暮らしをはじめた果歩。しかし、誰にも話しかけられず、どのグループにも馴染めなかった彼女は、偶然にも公園で会った目ヂカラの強いお爺さんと出会う。年も立場も違う二人だが、公園で会うたびに少しずつ話をするようになるけれど。

「体温計は嘘をつかない」(あけぼの子どもの森公園@埼玉県飯能市)
ムーミン谷のレプリカがあるこの公園は、家族の思い出が詰まった場所だった。経理部に勤めるサラリーマンの主人公シュウは息子の陸を連れて、離婚後初めてこの地を訪れる。別れた妻の真帆と息子を会わせるため、そして彼女にあることを伝えるために。

「メタセコイアを探してください」(石神井公園@東京都練馬区)
高校生の葉助は人気ヴォーカリストの相沢ミアと奇跡的な出会いを果たす。しかし、どうしても彼女に声がかけられない彼の前に現れたのは、どう見ても女子中学生の、自称・秋の妖精だった。彼女は焼き芋と引き替えに、彼の願いを叶えてくれるという香水を手渡すのだが……。

「雪には雪のなりたい白さがある」(航空記念公園@埼玉県所沢市)
中学三年生のクリスマス。瑞希は恋人の英治に別れを告げられた。あれから10年、目指していたフルート奏者の夢を諦め、「なにものにもなれない」と息苦しい毎日を送る瑞希。だから、届いた同窓会の招待状は心の支えだった。彼が来るかはわからない。でも期待していたのだ。誰かがこの息苦しい毎日から引き上げてくれることを。

「あの日みた大空を忘れない」(航空記念公園@埼玉県所沢市)
宇宙に関わる仕事に憧れ、その開発に携わる研究機関に就職した英治だったが、
自身が希望する部署には配属できなかった。今の仕事を続けることに疑問を感じ始めた英治は、かつて夢を目指すきっかけとなった公園に向かう。そして、瑞希と10年前に交わした約束を思い出す――。

「あの日みた大空を忘れない」は単行本未収録の書下ろしであり、女性の目線から描いた第4話『雪には雪のなりたい白さがある』に対して、同じ出来事を男性目線で描いた物語でもあります。一つの約束の男女のとらえ方の違いは、どうぞ本作品で(瑞希と英治は再び巡り会うことができるのでしょうか……?)。
学校に馴染めない、今の仕事に疑問を感じる、気になる人になかなか話しかけられない……。登場人物たちの性別や年齢は様々ですが、彼らが悩みながらも答えを出そうとする姿には感動し、勇気をもらえます。是非多くの人に読んで欲しい作品です。

(2018年1月30日)

屍人荘の殺人

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史上初、デビュー作にして年末ミステリベストランキング3冠達成!

『屍人荘の殺人』

今村昌弘

第27回鮎川哲也賞受賞作である『屍人荘の殺人』(今村昌弘)が、
『このミステリーがすごい!』2018年版国内編 第1位
〈週刊文春〉ミステリーベスト10 2017年国内部門 第1位
『本格ミステリ・ベスト10』2018年版国内ランキング 第1位
に選ばれました。新人作家のデビュー作が、年末ミステリランキングで3冠を達成したのは史上初の快挙です。

  「カレーうどんは、本格推理ではありません」
物語は神紅大学ミステリ愛好会の葉村譲と会長の明智恭介が、学食で女子生徒は昼食に何を食べるかを推理するところから始まります。
その後、彼らは探偵少女である剣崎比留子と共に映画研究部のいわくつきの夏合宿に参加することになり、ペンションである紫湛荘(しじんそう)を訪ねます。
……と、ここまでは古き良き本格ミステリの雰囲気ですが、92ページを境に世界は一変します。紫湛荘はある理由から外界と完全に隔離され、大学生たちはペンションへの立て籠もりを余儀なくされます。葉村譲や二人の探偵は生き残り、無事に紫湛荘を脱出することが出来るのでしょうか。さらに、この本には登場人物の名前を把握しやすいある仕掛けもあるので、スラスラ読めます。

もっと詳しくご紹介したいのですが、ここまでしか書けないことが悔しいです!しかしながらこの本については予備知識を持たず、一気に読むことをオススメします。(巻末の参考文献のページも先に見ないほうがよいです!)
綾辻行人のデビューから時が経ち、新本格ミステリ30周年記念といわれる2017年に『屍人荘の殺人』が刊行されたことも感慨深いです。
有栖川有栖もこの本の帯に『ここ数年来、本格ミステリが新たな時代に入ったことを感じていた。ついに新・新本格の「目玉」が入った』。という言葉を寄せております。本格と奇想の見事な融合をお楽しみ下さい!

WEBミステリーズ!本格ミステリを牽引する新たなる旗手、衝撃のデビュー『屍人荘の殺人』

(2017年12月15日)

七つの海を照らす星

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七河迦南のデビュー作『七つの海を照らす星』が売行き急上昇中!

『七つの海を照らす星』

七河迦南

吉田ヨシツギ氏による綺麗なカバーイラストで思わず手に取ってしまう1冊、七河迦南のデビュー作の『七つの海を照らす星』が新帯での出荷で、売行き急上昇中です! 第18回鮎川哲也賞受賞作の本書は、児童養護施設を舞台に子供たちが遭遇した不可思議な謎が解き明かされる連作ミステリです。

様々な事情により、家庭では暮らせない子どもたちが生活する児童養護施設「七海学園」。ここでは「学園七不思議」と称される怪異が生徒たちの間で言い伝えられ、今でも学園で起きる新たな事件に不可思議な謎を投げかけています。
子どもたちが遭遇する謎は全部で6つ。どの話も読み終わった後、彼らの未来に思いを馳せたくなるような、優しい気持ちになれるエピソードばかりです。個人的なオススメは、行き止まりの階段から幻のように消えてしまった転入生の謎を扱った、第4話の「夏期転住」。謎も魅力的ですが、そこに繋がるまでのどこか甘酸っぱい描写にも引き込まれます。ああ、しかし第2話の「滅びの指輪」もミステリ好きはニヤッとしてしまうような、あの定番ネタが使われていて、しかもその使い方がまた良いのです。いえ、もう全部オススメですね!
そして、子どもたちが遭遇した6つの謎とその全てを結ぶ7つ目の謎が解き明かされたとき、これまで見てきた景色とはまた違う光景が浮かび上がります。一編一編丁寧に書かれた短編がやがて一つの大きな物語へ昇華していく、読んだ人の記憶に残る素晴らしいミステリです。

11月下旬には、年末のミステリランキングで話題を呼んだシリーズ第二作、『アルバトロスは羽ばたかない』が待望の文庫化! 未読の方はこの機会にぜひ、まずは『七つの海を照らす星』からどうぞ! 急に寒くなった今日この頃、切なさと優しさに溢れた感動のミステリであったかい気持ちになってください。

【七河迦南の好評既刊】
アルバトロスは羽ばたかない 【11月下旬 文庫化】
空耳の森 【単行本】

(2017年10月23日)

滑らかな虹〈上〉

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驚異の新鋭が放つ、今世紀最大の問題作!

『滑らかな虹〈上〉』

十市社

『ゴースト≠ノイズ(リダクション)』で読者を驚愕させた十市社(とおちの・やしろ)が放つ、入魂の傑作『滑らかな虹』が口コミで話題を呼んでいます。衝撃度は前作以上! 正真正銘とんでもない傑作ですので、未読の方はぜひチェックを。

物語の舞台となるのは新学期が始まった5年3組の教室。担任の柿埼先生が子どもたちにある提案をします。
「どうでしょう。今年一年、このクラスのみんなでゲームをしませんか?」

そのゲームの名前は「ニンテイ」。先生が独自に考えたオリジナルのゲームです。
『滑らかな虹』を読むうえで重要になるのが、この「ニンテイ」です。「ニンテイ」とは「認定」を意味し、クラスの一人一人に「特殊な能力」があるとして、それぞれの力をつかっていわば「能力バトル」を行うゲームなのです。今回の「注目の本」では、この「ニンテイ」がどういうものなのか、基本的なルールをご紹介いたします。
********************
【ニンテイのルール】
・5年3組の一員としてこの学校にいるあいだ、つねに進行し続ける。
・ニンテイゲームはだれもぬけることはできない。
・一人につき一つの能力が与えられる。また、能力は各自で設定する。
・ゲームが有効なときにはいつでも、認定された能力を発動することができる
・ゲームで能力を発動するときは手持ちの「ドロップ」を消費する。

【能力の具体例】
『氷結』
効果:発動のあと最初にさわった相手や物を凍らせる。
例1:床を凍らせる。
   立っている人はスリップして転んでしまう。範囲は教室一つぶんまで。
例2:(サッカーなどで)シュートするボールを凍らせる。
   凍ったボールをさわったり、はじいいた人も凍って動けなくなる。キーパーがキャッチした場合はボールを抱えたまま凍るので、そのまま守れる。

『指リボルバー』
効果:人さし指からピストルの弾丸を発射する。
   射程距離は教室一つぶん。命中率は100パーセント。
   効果は本物のピストルとおなじ(ただし命中後10秒で効果は消える)。
方法:再開の合図のあとターゲットを宣言し、「パン」と口で発射音を鳴らす。
   1発ごとにドロップを1個消費。発射できるのは1日5発まで。

大まかなシステムはこの通りです。他にも「ニンテイ」を強制的に終了させる「エンド」ルールや、進行中に明らかになるルールもあるのですが、それは読んでからのお楽しみで。
授業中や他のクラスと合同イベントでは「ニンテイ」は行いませんが、5年3組内で完結する行事のなかでは「ニンテイ」を行うことが出来ます。

 さあ、なんとなく「ニンテイ」というゲームがどういうものなのかわかっていただけたでしょうか。あとは物語の世界に身を委ねるだけです。
「ニンテイ」は当初、ドロップの入手のために、係や委員会などへの積極的な参加や児童たち自身の手でクラスの秩序を保つよう、自主性を促す狙いで始まりました。しかし、そこはミステリですからね! ただ平和にゲームが進行するわけではありません。
不穏な空気を終始漂わせる上巻と目まぐるしく物語が収束していく下巻。5年3組の児童、百音(もね)サイドと柿埼先生のサポートをする田児(たご)先生サイド、二人が交互に語ることで紡がれる本作は、抜群の引力で一度読み始めた読者を離すことはありません。
間違いない、本書は傑作だ。読み終えた後の貴方の感想もきっとそうなるでしょう。

【十市社の好評シリーズ既刊】
ゴースト≠ノイズ(リダクション)

(2017年9月15日)

れんげ野原のまんなかで

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元・図書館司書の著者が描く、大人気!図書館ミステリ

『れんげ野原のまんなかで』

森谷明子

唐突ですが、月にどれくらいの本をお読みなりますか? 1冊? 3冊? 10冊以上? たくさん読む方ほど図書館を利用する回数も多いかもしれません。
そんな本好きの方はもちろん、普段は全然本に興味がないという人に、一度は覗いてほしい、そんな図書館が本作に登場します。

ススキ生い茂る、町はずれのへんぴな山麓にぽつんと建っている〈秋葉図書館〉は、いつも閑古鳥。なんとか利用客数を増やしたいけれど思うようには行かず、他の図書館への貸し出し業務が中心になってしまっている。そんな図書館に新米司書として配属された文子は、ある日、閉館になっても館内に居座ろうとする小学生たちと遭遇。ちょっとした悪戯かと思っていたのだが……他にも幻の貸し出しリストや本のラベルの暗号など図書館ならではのミステリが楽しめます。何より、豊富な本の知識をもった司書たちが、利用客たちの謎を本の力で解決するのは、この作品ならではの面白さ。元・図書館司書の著者だからこそ描ける作品です。

8月中旬にはシリーズ2作目『花野に眠る』が文庫化! それに合わせてシリーズ1作目にあたる本作も新カバーに変わります。カバーイラストは、大人気シリーズ『お待ちしてます 下町和菓子 栗丸堂』(KADOKAWAメディアワークス文庫)を手がける、わみず氏。やわらかなタッチのイラストは物語のあたたかな雰囲気をかもし出しています。ぜひこの機会に最新刊も合わせてお手に取ってみてください。
ところで、あれ? と思った方いませんか? 内容紹介にある“ススキ”。タイトルが『れんげ野原のまんなかで』なのに。ここにも謎が隠されています。要チェックです!

【森谷明子の好評既刊】
〈秋葉図書館シリーズ〉
花野に眠る 秋葉図書館の四季 【8月21日刊行】
〈平安王朝推理絵巻〉
千年の黙 異本源氏物語  【第13回鮎川哲也賞受賞】
白の祝宴 逸文紫式部日記

(2017年8月10日)

風ヶ丘五十円玉祭りの謎

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絶好調! 青崎有吾の人気シリーズ第三弾が文庫化!

『風ヶ丘五十円玉祭りの謎』

青崎有吾

学校内に住みつく天才高校生(けど駄目人間)・裏染天馬の活躍を描いた人気シリーズ第三弾、『風ヶ丘五十円玉祭りの謎』が売行き絶好調です。いつもの『〇〇館の殺人』とタイトルが違うのは、本格ミステリ長編だった過去二作と違い、ちょっとした日常を切り取った、シリーズ初の短編集だからです。

個人的にはこれまで〈裏染天馬シリーズ〉を読んだことがない方にオススメしたい! むしろ本書からこのシリーズを楽しんでいただきたいくらいです。
キャラクター同士の掛け合いが魅力的な本シリーズですが、事件のスケールが大きい(?)既刊作品と違って、本書はあくまで日常のやりとりを描いています。夏休みの終わりを嘆くような高校生たちの等身大のキャラクターに親しみが持てます。特に本書のワトスン役(ヒロイン?)袴田柚乃がかわいい! 一見、文学少女風で実は卓球に打ち込むスポーツ女子なのですが、探偵役の裏染天馬をはじめ、周りの友人知人は奇人変人ばかり。振り回されっぱなし、ドギマギさせられまくりの彼女に、恋愛要素とはまた違う甘酸っぱさを感じます。

もちろんシリーズファンも大満足できるはず! 長編でなくては楽しめないよ、などということなかれ。シリーズファンだからこそのニヤニヤ箇所が盛りだくさんです。大きな事件に巻き込まれてばかりいた柚乃や天馬たちのちょっとした日常風景に思わずニヤリ。これまでとは違うギャップに、さらにニヤリ。長編ではあまり出番がなかったキャラクターが目立ち始めて、さらにさらにニヤリ。シリーズ第四弾の『図書館の殺人』を楽しむためにも外せない一冊です。

お祭りの屋台のお釣りが五十円玉ばかりなのはなぜかという謎に挑んだ表題作をはじめ、少女ふたりが教室から忽然と姿を消した「天使たちの残暑見舞い」など高校生たちの日常を扱った珠玉の五編。夏祭り、夏休み、新学期と今の季節にもぴったり!
ミステリ業界最注目作家“平成のエラリー・クイーン”こと青崎有吾が贈る、愛すべき一冊です。どの話からでも結構です。まずは一編お読みください。ハマりますよ〜。

【青崎有吾の好評シリーズ既刊】
体育館の殺人  【第22回鮎川哲也賞受賞】
水族館の殺人
図書館の殺人  【単行本】

(2017年8月10日)

巨神計画〈上〉

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クチコミで話題の巨大ロボット・プロジェクトSF!

『巨神計画〈上〉』

シルヴァン・ヌーヴェル
佐田千織

みなさん、巨大ロボットはお好きですか? バラバラのパーツがついに1体のロボットに合体する様とか、ロボものの醍醐味ですよね。そんなわくわく感を裏切らず、かつ、そのロボットが地球の技術では製作不可とあれば、興味は俄然、沸いてくるはず。

物理学者ローズが、少女時代に偶然発見した、イリジウム合金製の巨大な“手”。それは明らかに人類の遺物ではなかった。何者かが六千年前に地球に残していったものだったのだ! さらに、人型巨大ロボットの一部だと判明した事で、全世界を巻き込む前代未聞の極秘計画がはじまった。
作品は、この巨大プロジェクトを指揮する謎の人物“インタビュアー”によるインタビュー形式中心に描かれることで、いま何が起こっているのか、を想像しながら読み進めていくことができます。さらに、垣間見えるプロジェクトに関わる人々の人間関係もこの話の重要な要素。上巻のラストの衝撃と、下巻を読み終えた後の続編を待ち望む渇望感は保証します!
そもそも何者が、何のためにこのロボットを地球に残したのか? ロボットが秘める力の全貌は? そしてインタビューアーの正体とは? 
謎が謎を呼ぶ一気読み必至のエンタテイメントを、ぜひこの機会にご一読ください。

渡邊利道/シルヴァン・ヌーヴェル『巨神計画』(佐田千織 訳)解説(全文)【Webミステリーズ!】

(2017年7月14日)

魔都

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話題沸騰! 小説の魔術師・久生十蘭の代表作がついに復活!

『魔都』

久生十蘭

「ついに『魔都』が発売されるんですか!!」書店さんをお伺いし、新刊のご案内をする際、書店員さんから刊行を待ちわびた声を多く耳にしました。
長らく入手困難だった本書ですが、東京創元社から満を持しての刊行。発売直後、売り切れ店が続出しました。

新聞記者の古市加十(ふるいち・かじゅう)は銀座のバーで来遊中だった阿南(ベトナム)国皇帝との出会いをきっかけに日比谷公園で鳴く鶴の噴水の謎、皇帝の妾の堕死など魔都・東京に渦巻く不気味な事件に巻き込まれていきます。

1936年、『新青年』という雑誌で発表された本作は全13回の連載で、昭和九年の元旦を軸にした前後30時間の出来事を多視点で描くという意欲的な構想の元に生まれました。自在な語りで恋愛小説や謀略小説に相貌を変えたり、当時の国政を痛烈に皮肉ったりとミステリのジャンルには容易に収まらない本作は、時代を超え多くの読者を熱狂し続けています。
イラストレーターの影山徹さんが描く、幻想的な街並みに誘われるような装画も魅力的です。現代に蘇った名作の世界にあなたも誘われてみては?

【久生十蘭の好評既刊】
日本探偵小説全集〈8〉久生十蘭集

(2017年4月19日)

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