さまざまな理由で家庭では暮らせない子どもたちのための養護施設・七海学園。勤めて三年目の保育士・北沢春菜は慌ただしくも生き生きと職務に励んでいた。そんな日々の中、初冬のある日に学園の少年少女が通う高校の文化祭で起きた校舎屋上からの転落事件が暗い影を落とす。事故か、自殺か、それとも──? 鮎川哲也賞受賞作『七つの海を照らす星』に続く、清新な本格ミステリ。解説=千街晶之
七河迦南
(ナナカワカナン )東京都出身。早稲田大学卒業。2008年、『七つの海を照らす星』で第18回鮎川哲也賞を受賞しデビュー。10年刊の『アルバトロスは羽ばたかない』は、第64回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)候補になるなど高い評価を得る。他の著作に『空耳の森』『わたしの隣の王国』がある。