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図書館の殺人

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今度の舞台は「図書館」。絶好調の大人気シリーズ最新作!

『図書館の殺人』

青崎有吾

「平成のエラリー・クイーン」こと青崎有吾のシリーズ最新作『図書館の殺人』を9月上旬に文庫化いたしました。刊行からまだ1週間ほどですが、その初速はシリーズトップの売行きです。最新作が出るごとに初版部数も右肩上がりの大人気シリーズですので、未読の方はぜひチェックを。

『体育館の殺人』から始まる「裏染天馬」シリーズは横浜市が舞台。風ヶ丘高校に通う高校生たちが活躍する学園ミステリです。「体育館」や「水族館」といった「館」で、不可解な殺人事件が起きる本シリーズですが、今度の事件現場は、ズバリ「図書館」です。
高校近くの風ヶ丘図書館の常連客だった大学生の青年が撲殺されます。司書以外は入れない閉館後の図書館に彼は何の目的があって入ったのか。また何故殺されてしまったのか。凶器となったのは山田風太郎『人間臨終図巻』(ブ厚くて、重いです)。現場に残された二つのダイイングメッセージ。ここだけでもミステリ好きにはワクワクする設定ですね。学校に住むアニメオタクの駄目人間、裏染天馬が「捜査アドバイザー」として謎に挑みます!

「平成のエラリー・クイーン」の名に恥じないロジカルな解決編が本シリーズの特徴ですが、最大の魅力はなんといってもキャラクターの会話劇です。探偵役の天馬に振り回されるワトスン役の柚乃との掛け合いは、巻数を重ねるごとにキレが増しているのか、本気で笑わせにきます! アニメオタクの天馬の会話についていけない柚乃との微妙にずれたやりとりは読んでいて楽しいです。 その他、学園ミステリには欠かせない、個性豊かな学友たち。筆者の個人的オススメキャラクターは、清楚なキャラであったはずの元生徒会副会長の八橋千鶴です。『体育館の殺人』の頃の彼女はどこに行ってしまったのか。本筋と全く関係ありませんが、彼女の動向にもぜひご注目ください!

シリーズは現在長編3作、短編集1作の計4作ですが、どの話も独立していてどこからでも楽しめます。まずはシリーズ最高傑作と名高い『図書館の殺人』を楽しむのもよし! 時間に余裕のある方は、ぜひデビュー作の『体育館の殺人』からお楽しみください! どの作品もハズレなしの傑作ミステリです。
また今回の注目の本では、本家『エラリー・クイーンの冒険』もご紹介いたします。併せて読めば楽しさ倍増です!

【裏染天馬シリーズ】
体育館の殺人 【第22回鮎川哲也賞受賞】
水族館の殺人
風ヶ丘五十円玉祭りの謎

(2018年9月21日)

エラリー・クイーンの冒険

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続々重版!ホームズと比肩する名探偵、エラリー・クイーンの事件簿

『エラリー・クイーンの冒険』

エラリー・クイーン
中村有希

名探偵といえばシャーロック・ホームズや金田一耕助などが有名ですが、「アメリカの推理小説そのもの」と評された巨匠中の巨匠エラリー・クイーンが描いた、著者と同名の名探偵をご存知でしょうか。名前は知っているけれど読んだことがない、海外作品はとっつきにくいと思っている方にぜひおすすめしたいのが、この短編集『エラリー・クイーンの冒険』です。

ニューヨーク市警きっての腕ききリチャード・クイーン警視と、その息子で推理小説作家のエラリー・クイーン。エラリーは警察官の父にが担当する難解な事件を明晰な頭脳と推理力で解き明かします。『エラリー・クイーンの冒険』では、犯人当て、ダイイングメッセージ、意外な隠し場所、怪異現象など、様々な種類の謎が収録されており、クイーンの短編集の中でも粒ぞろいの逸品です。
エラリーの論理的な思考は、ちょっとした差異を見逃さず、美しい解決を披露します。エラリーが登場する作品としては、ほかにデビュー作『ローマ帽子の謎』から始まる〈国名シリーズ〉の長編があり、短編集と同じく新訳版で刊行しています。

また本作には、国内の“エラリー・クイーン”と称される有栖川有栖先生と青崎有吾先生によるダブル推薦をいただいています。
国内外問わず、多くの作家に影響を与えたエラリー・クイーンの作品をぜひ、この機会にご堪能ください。

有栖川有栖先生、推薦(オビより転載)
名探偵エラリー・クイーンの〈精緻にして意外性に富んだ推理〉を堪能できる本格ミステリ短編集の精華。まさに論理の冒険。クイーンがすごいのは長編だけではない!

青崎有吾先生、推薦(オビより転載)
なぜ誰もがクイーンを目指すのか。この一冊に答えがある。ミステリ史上最も知的な十一の冒険譚。拍手の準備をお忘れなく。

【エラリー・クイーン〈国名シリーズ〉*すべて新訳版】
ローマ帽子の謎
フランス白粉の謎
オランダ靴の謎
ギリシャ棺の謎
エジプト十字架の謎
アメリカ銃の謎

(2018年9月21日)

イメコン

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『給食のおにいさん』の著者・遠藤彩見が描く、新基軸のお仕事ミステリ!

『イメコン』

遠藤彩見

駅ビルにある書店を舞台に書店員がさまざまな謎に挑む『配達あかずきん』(大崎梢)、商店街の小さなフレンチ・レストランのシェフが客たちの巻き込まれた不可解な出来事の謎を解く『タルト・タタンの夢』(近藤史恵)など、その仕事ならではの魅力にミステリの要素をプラスした「お仕事ミステリ」というジャンルがあります。今回ご紹介する『イメコン』はそんなお仕事ミステリの中でも「イメージ・コンサルタント」という職業を主人公にした作品です。

引きこもりの男子高校生の直央は、母親の幼馴染である五味が市長を務める市役所で王子と呼びたくなる雰囲気を醸し出すイケメン・一色に出会います。彼はその人にあった服装や所作を提案するイメージ・コンサルタントを生業にしており、ボランティアで五味市長のイメコンを引き受けていました。依頼人が抱えるコンプレックスやトラブルを鋭い洞察力を活かして解決していく一色。直央も彼のアシスタントとして様々な事件に巻き込まれることになります。
お仕事ミステリではその職業ならではのトリビアを知ることができるのも楽しみの一つですが、『イメコン』にも日常生活や仕事にすぐに活かせるイメージアップのための知識が盛りだくさんです。ここで作中で一色が披露したアドバイスをちょっとだけご紹介いたします。
・人に貫禄をつけるのは自信。自信を見せるには姿勢。
・ここぞというときは、光を背にして立つ。
・ハイヒールを履くといい声が出る。
・笑顔は3種類の“歯の出し方”で決まる。
・好きな色と似合う色は違う。

謎解きを存分に楽しむことができ、読んだらすぐに使えるイメージアップの知識が詰まった『イメコン』。新基軸のお仕事ミステリを是非お楽しみ下さい!

(2018年6月28日)

日曜の午後はミステリ作家とお茶を

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ジワジワ売れ続けて重版出来! 図書館司書の著者が贈る連作短編集

『日曜の午後はミステリ作家とお茶を』

ロバート・ロプレスティ
高山真由美

5月に刊行したロバート・ロプレスティの『日曜の午後はミステリ作家とお茶を』がクチコミを中心にジワジワ売れ続け、ついに重版決定です。1編辺り20ページ前後という気軽さでバラエティ豊かなミステリを楽しめる、超お買い得な連作短編集です。未読な方はぜひチェックを!

主人公はベテランミステリ作家のレオポルド・ロングシャンクス(通称:シャンクス)。事件を解決するのは警察の仕事であると言いつつも、不本意?ながら事件に巻き込まれ、なんだかんだ解決してしまうという、何ともミステリ好きがニヤリとしてしまうようなキャラクターです。筆者が特にニヤついてしまうのは、彼のシニカルな内面です。物語は彼目線で進むのですが、とにかく心のなかの愚痴が多い(笑)。人当たりの良い、社交的な印象とは違って、彼の内面はぼやきが止まらない! しかしこのぼやきもクセになります。そんな皮肉屋なところもシャンクスのことを好きになる魅力的な一面なのです。
キャラクターでいえば、シャンクスの妻・コーラも魅力的。彼女もシャンクス同様作家ですが、こちらはロマンス小説家。最初のほうはシャンクスよりキャリアが浅いため、シャンクスの妻という立ち位置でしかありませんでしたが、後半はシャンクスより本が売れるようになったりと、この夫婦二人の関係性を追って読んでいくのも楽しいです。
そんなシャンクスたちが出合った奇妙な14の謎。事件と呼べないような謎から詐欺や殺人事件などの凶悪犯罪まで、実にバラエティに富んだラインナップです。しかもどの話も予想を裏切る、切れ味の鋭い短編ばかり。前述の通り、これは超お買い得な作品ではないでしょうか。
その他にも、各章の最後にある「著者よりひとこと」もまた、シャンクスばりにシニカルで面白く、シャンクスとコーラは夫婦揃って作家ということもあって、業界のあるあるネタが散りばめられていたりと、本書を好きになる理由を10人に聞いたら10人異なるのではないかと思うくらい様々な魅力に溢れています。
タイトルの通り、日曜の午後に美味しいお茶を飲みながら、気軽に1編いかがでしょう。気持ちの良い休日を過ごせることをお約束いたします。

ミステリ作家の執筆と謎解き! 図書館司書の著者が贈る連作短編集(WEBミステリーズ!)

(2018年6月28日)

シリアの秘密図書館

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絶望的な状況下、人びとを救ったのは「本」だった! 感涙のノンフィクション

『シリアの秘密図書館』

デルフィーヌ・ミヌーイ
藤田真利子

いまもなお不安定なシリア情勢。日々の爆撃や戦闘に怯え、行く場所を失っている人が多くいます。そんな絶望的な状況下の中で、決して希望を失わず、明日を生き抜くために「本」を救い、「本」に救われた人びとがいました。『シリアの秘密図書館』は、そうした現場から直接届けられた彼らの声を集め描かれているノンフィクションです。

2015年、シリアの首都ダマスカス近郊の町ダラヤでは、市民がアサド政権軍に抵抗して籠城していた。彼らは政府によってテロリストとされていたが、実際は自由を求める一市民でしかなかった。政府軍からの空爆により、建物は破壊され、人びとが犠牲となる中、ダラヤの若者たちは瓦礫から本を取り出し、地下に「秘密の図書館」を作った。いつか持ち主の手元に本が戻るようにと、集めた本には元の持ち主の名前を書き、番号をふり管理をして……。

子供から大人まで、多くの人が心の平安や憩いを求めて図書館を訪れていました。『アメリ』『アルケミスト』『7つの習慣』……特に『アルケミスト』は人気で来館する多くの若者たちに回し読みされていたようです。また、もともと本を読む習慣のなかった人も、本を読むことに安らぎを覚え、さらに知識を深める楽しみを知っていったのです。

「本は僕を支配しない。与えてくれる。」
「本を読むのは、何よりもまず人間であり続けるためです」

本を読むことで生きる希望を諦めなかったダラヤの若者たちの言葉に思わず涙してしまいました。
どんな困難な状況の中でも「本」は私たちに自由と強さを与えてくれる。
この本を通して、知る現実は心に痛みを伴いますが、読み終わった後に沸き起こる感動は強い印象を残すのではないでしょうか。ぜひ、ご一読ください。

・住む町が戦場になっても、本と図書館を求めた
デルフィーヌ・ミヌーイ『シリアの秘密図書館』訳者あとがき(全文)

・本は人を救う!書籍にまつわる傑作ノンフィクション
戦地の図書館 海を越えた一億四千万冊

(2018年5月18日)

現代詩人探偵

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『ミミズクと夜の王』で読書界を席巻した、著者初の長編ミステリ!

『現代詩人探偵』

紅玉いづき

『ミミズクと夜の王』で第13回電撃小説大賞〈大賞〉を受賞した作家・紅玉いづきの『現代詩人探偵』が待望の文庫化となりました。

とある地方都市、コンビニのアルバイトで生計を立てる僕は「10年後に再会しよう」というかつての詩人仲間との約束を果たすためSNSコミュニティ、『現代詩人卵の会』のオフ会に足を運びます。しかし、当日集まったのは9人の仲間の内5人。残りの4人は自殺や事故などの不審死遂げていました。
農薬を飲んで亡くなった者、人気のない踏切で電車に飛び込んだ者、病院の非常階段から飛び降りた者――。なぜ彼らは死んだのか。生きて詩を創作し続けることはできなかったのか。生きることと詩を書くことの両立に苦悩している僕は、独自に調査を始めます。
各章は作中で登場する詩人たちの詩から始まります。ある者は戦争を望むような過激な詩、ある者はイソップ寓話をなぞらえたような明るくも切ない詩。各章を読み終え、真相が明らかになった後で詩を見返すと、それらが切実に胸に刺さります。
そして終章直前の第4章では作品の世界観を根幹から揺るがす、ある事実が判明します。
私は全編を読み終えたあとすぐに2周目に突入してしまいました。初読と再読とで見えてくる景色が異なる本書を、どうぞお見逃しなく。

最後に、本作は金沢を舞台に描かれており、この本の刊行後に紅玉いづき先生ご本人が作中で登場した場所のロケを行っておりますので、いくつかご紹介させていただきます。本書を片手に訪れてみてはいかがでしょうか。

霧のような雨が降る中、松並木のそばを通り、橋を渡り、夜の間しか鍵のかかっていない家の通用口を開く。──文庫本p14

記憶の中では別のファミレスだった気がするのだけど、それも遠くおぼろげな認識だった。この並びに古本のチェーン店があった頃に、入店したことが数回あるだけの淡い記憶だった。──文庫本p33

ステンドグラスのはまった塔のような門のある神社の脇を抜けると、いくつかの古いビル。──文庫本p117

(2018年5月18日)

そしてミランダを殺す

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続々重版!! 抜群のリーダビリティと先が読めない傑作ミステリ

『そしてミランダを殺す』

ピーター・スワンソン
務台夏子

2月刊行したピーター・スワンソン『そしてミランダを殺す』が、先の読めない傑作ミステリとしてご好評いただき、売行き急上昇中です! 何がそこまで読者をひきつけるのか。今月の注目の本は、そんなハラハラドキドキが止まらない、圧巻のサスペンスをご紹介いたします。

実業家のテッドが空港で出会った謎の美女・リリー。彼女と意気投合したテッドは、酔った勢いで「妻を殺したい」とリリーに言ってしまう。テッドの妻・ミランダの浮気現場を目撃してしまったからだ。リリーはテッドの発言を正すどころかミランダは死ぬべきであると、テッドの意見に賛同し彼を唆す。そうして始まった見知らぬ男女二人による殺人計画。順調に進んでいるように見えた計画ではあったが……。

※読むのを止めることに強い精神力が必要となりますので、あらかじめここで注意喚起させてください。
なにより魅力は、その構成の面白さ。本書は三部構成となっておりますが、第一部も第二部も第三部も、必ずどこかで予想もしない展開に読者を誘います。保証いたします! 少なくとも3回仰天するでしょう(ちなみに筆者は5回驚きました)。「まさか、こんな展開になるなんて!」本書を読んでいる途中、何度こう思ったことか。自分の予想を遥かに超える展開と各章の引きの上手さが抜群なのです。
さらに、登場人物の少なさも本書の魅力の一つ。主要な登場人物は5人。実業家のテッド、謎の美女・リリー、テッドの妻・ミランダ、ミランダの浮気相手・ブラッド、そして、……〇〇〇〇。この5人だけ覚えたら本書を存分に楽しめます! その中でも特に異彩を放つのが、謎の美女・リリー。彼女の幼少期や大学時代の独白から徐々に明らかになるリリーの本性。前述の通り、どの章も続きが気になるところで終わってしまうので、毎回あと一章読んだら一休みしようと思いつつ先が気になって、つい続きを読んでしまいます。

登場人物の名前が覚えられないから海外作品は読まないなんて言うことなかれ! 抜群のリーダビリティと先が読めない展開に最後の最後までハラハラドキドキさせることをお約束いたします

男女4人の視点で進む殺人計画! 翻訳者さんが「訳したい!」と持ち込んでくださった傑作ミステリ『そしてミランダを殺す』 【WEBミステリーズ!】

(2018年4月12日)

許されざる者

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CWA賞、ガラスの鍵賞ほか五冠!新たなる北欧の巨人の快進撃!

『許されざる者』

レイフ・GW・ペーション
久山葉子

CWA賞、ガラスの鍵賞などで五冠という輝かしい実績を修めた『許されざる者』が好調です。作者はスウェーデン生まれのレイフ・GW・ペーション。日本では初訳の作家ながら、発売から2ヶ月で2度の重版がかかりました。

国家犯罪捜査局の元長官ラーシュ・マッティン・ヨハンソン。現役時代の彼は並外れた推理力から「角の向こう側が見通せる」と部下たちに畏怖されていましたが、日頃の不摂生がたたって、脳梗塞で倒れ右半身に麻痺が残ってしまいます。
そんな彼に主治医の女性が25年前の未解決事件についての相談をもちかけます。9歳の少女が暴行の上殺害された事件。その犯人の正体を牧師だった父が、25年前に懺悔で聞いていたというのです。だが、事件は時効になっていました。
ヨハンソンは相棒だった元捜査官や介護士、義弟の税理士や兄の丁稚のロシア人を手足に事件を調べなおし、新たな事実が次々と明るみにでます。当時のずさんな捜査、目撃されていた一台の乗用車――。果たして彼は犯人を見つけ出し、報いを受けさせることはできるのでしょうか。

担当編集の「これは面白い!」というセリフのもと、私も実際に読んでみました。乱暴な言葉遣いながら、どこか憎めないヨハンソン。周囲の魅力的なキャラクターも相まって後半まではするすると読めてしまいます。しかし、最後の展開はあまりにも衝撃的でした。読了後には「許されざる者」というタイトルを改めて思い知らされることになるでしょう。新たな北欧の巨人の衝撃作を是非ご堪能下さい

杉江松恋/レイフ・GW・ペーション『許されざる者』解説(全文)【WEBミステリーズ!】

(2018年4月12日)

旅の終わりに

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人生最後の旅に出るとしたら、あなたは誰とどこに向かいますか? 映画「ロング、ロングバケーション」原作

『旅の終わりに』

マイケル・ザドゥリアン
小梨直

2018年1月26日より全国公開された映画「ロング、ロングバケーション」。アカデミー賞受賞俳優のヘレン・ミレンとドナルド・サザーランドが主演し、先日発表されたゴールデン・グローブ賞では主演女優賞にもノミネートされました。映画も原作と同じく、コミカルな旅路が描かれ、最後に訪れる思いけれど温かみのある結末には胸を打たれます。
80歳を迎え、認知症を患う夫のジョン。妻のエラは末期がんと診断され、子供たちからは住み慣れた家を離れ施設での生活をすすめられていた。
いま離れてしまえばきっと別々に死を迎えてしまう。2人は思い出のキャンピングカーに乗り込み、かつて幼い子供たちと一緒に旅をしたように車を走らせる事にした。目指すは思い出のテーマパーク。順調に始まった旅行は、様々な失敗が重なりつつも笑いに満ちた旅路になるのだが……。

エラは痛み止めをのみながら、ハンバーガーばかり食べたがるジョンにつきあい、ジョンは妻のエラを忘れてガソリンスタンドに置き去りにして車を走らせたり、かと思えば強盗に襲われたり……。哀しみとおかしさが交互する旅を続ける二人。キャンプ場で二人がこれまでの家族、友人、教え子たちの写真を見ながら過去を振り返る場面はとても胸にしみました。そして、最後には切なくも温かな涙が溢れる感動が待ち受けています。小説と映画、ぜひ両方を味わって欲しい感動作です。

映画『ロング,ロングバケーション』公式サイト
読んでから観ましょう。【WEBミステリーズ!】

(2018年1月30日)

雪には雪のなりたい白さがある

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あなたの会いたい人は今、どうしてますか? 涙がこぼれる5つの物語

『雪には雪のなりたい白さがある』

瀬那和章

今年、都内でも雪が降りました。積雪が20センチを超えたのは4年ぶりだそうです。
会社への電車通勤は私も億劫になりましたが、雪が降り積もる最寄り駅の風景はいつもと違って新鮮で幻想的に見えました。
今回は今の季節にもぴったりで、実在する4つの公園を舞台に描かれる『雪には雪のなりたい白さがある』をご紹介いたします。

「雨上がりに傘をさすように」(港の見える丘公園@神奈川県横浜市)
横浜での大学生活に憧れを抱き、高校を卒業後、上京し一人暮らしをはじめた果歩。しかし、誰にも話しかけられず、どのグループにも馴染めなかった彼女は、偶然にも公園で会った目ヂカラの強いお爺さんと出会う。年も立場も違う二人だが、公園で会うたびに少しずつ話をするようになるけれど。

「体温計は嘘をつかない」(あけぼの子どもの森公園@埼玉県飯能市)
ムーミン谷のレプリカがあるこの公園は、家族の思い出が詰まった場所だった。経理部に勤めるサラリーマンの主人公シュウは息子の陸を連れて、離婚後初めてこの地を訪れる。別れた妻の真帆と息子を会わせるため、そして彼女にあることを伝えるために。

「メタセコイアを探してください」(石神井公園@東京都練馬区)
高校生の葉助は人気ヴォーカリストの相沢ミアと奇跡的な出会いを果たす。しかし、どうしても彼女に声がかけられない彼の前に現れたのは、どう見ても女子中学生の、自称・秋の妖精だった。彼女は焼き芋と引き替えに、彼の願いを叶えてくれるという香水を手渡すのだが……。

「雪には雪のなりたい白さがある」(航空記念公園@埼玉県所沢市)
中学三年生のクリスマス。瑞希は恋人の英治に別れを告げられた。あれから10年、目指していたフルート奏者の夢を諦め、「なにものにもなれない」と息苦しい毎日を送る瑞希。だから、届いた同窓会の招待状は心の支えだった。彼が来るかはわからない。でも期待していたのだ。誰かがこの息苦しい毎日から引き上げてくれることを。

「あの日みた大空を忘れない」(航空記念公園@埼玉県所沢市)
宇宙に関わる仕事に憧れ、その開発に携わる研究機関に就職した英治だったが、
自身が希望する部署には配属できなかった。今の仕事を続けることに疑問を感じ始めた英治は、かつて夢を目指すきっかけとなった公園に向かう。そして、瑞希と10年前に交わした約束を思い出す――。

「あの日みた大空を忘れない」は単行本未収録の書下ろしであり、女性の目線から描いた第4話『雪には雪のなりたい白さがある』に対して、同じ出来事を男性目線で描いた物語でもあります。一つの約束の男女のとらえ方の違いは、どうぞ本作品で(瑞希と英治は再び巡り会うことができるのでしょうか……?)。
学校に馴染めない、今の仕事に疑問を感じる、気になる人になかなか話しかけられない……。登場人物たちの性別や年齢は様々ですが、彼らが悩みながらも答えを出そうとする姿には感動し、勇気をもらえます。是非多くの人に読んで欲しい作品です。

(2018年1月30日)

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