ある男の殺害期成同盟を結んだ4名の目論見と決行の実際を描く「われら殺人者」や、最後の一行へ見事に収斂する緊迫感に満ちた佳品「崖下の家」など11編を収める。解説=細谷正充
「夜は三たび死の時を鳴らす」
「金瓶梅殺人事件」
「白昼の恐怖」
「幻の呼ぶ声」
「完全なる離婚」
「恐怖の山荘」
「袋小路」
「われら殺人者」
「真説・赤城山」
「崖下の家」
「悪徳の果て」
天藤真
(テンドウシン )東京生まれ(1915‐83)。東京帝国大学国文科卒業。同盟通信記者を経て、戦後は農業に従事し、その傍ら千葉敬愛短期大学で教鞭を執った。62年「親友記」が第3回宝石賞に佳作入選。同年『陽気な容疑者たち』が第8回江戸川乱歩賞の最終候補となり、大下宇陀児の推輓を得て翌年刊行に至る。79年『大誘拐』で第32回日本推理作家協会賞を受賞。著書に『遠きに目ありて』『死の内幕』『鈍い球音』『皆殺しパーティ』『殺しへの招待』『炎の背景』『死角に消えた殺人者』『善人たちの夜』『わが師はサタン』『親友記』『星を拾う男たち』『われら殺人者』『雲の中の証人』『背が高くて東大出』『犯罪は二人で』等。