●喜国雅彦氏推薦――「とびきり不健全! ひたすら不道徳! でも不思議に乱歩は読んでワクワク」
狙い定めた女をさらっては弄び、挙句の果てに情け容赦なく冥土へ送るという、悪行の限りを尽くす男を描いたクライム・ストーリー。レビューガール、カフェのマダム、有閑未亡人……魅入られたかのように盲獣の魔手に搦めとられていく美女たちの運命は? 「地獄風景」併載。巻頭に原画から起こした口絵を付す。挿絵=竹中英太郎・横山隆一
●収録作品
「盲獣」
「地獄風景」
江戸川乱歩
(エドガワランポ )1894年生、1965年歿。大正12年の〈新青年〉誌に掲載された「二銭銅貨」がデビュー作。それはまた、わが国で初めて創作の名に値する作品の誕生であった。以降、「パノラマ島奇談」等の傑作を相次ぎ発表、『蜘蛛男』以下の通俗長編で一般読者の、『怪人二十面相』に始まる年少物で少年読者の圧倒的な支持を集めた。推理小説の研究紹介や、新人作家育成にも尽力した巨人である。