『蜘蛛男』事件を終えて休養のために湖畔のホテルへやってきた明智小五郎。彼はそこで会った大宝石店の令嬢玉村妙子に、いつしか憎からぬ感情を抱くようになった。それも束の間、一足先に帰京した妙子の要請で明智はまたもや事件の捜査に乗り出さなくてはならなくなった。異常なまでの復讐心に燃える魔術師との死闘! 挿絵=岩田専太郎
江戸川乱歩
(エドガワランポ )1894年生、1965年歿。大正12年の〈新青年〉誌に掲載された「二銭銅貨」がデビュー作。それはまた、わが国で初めて創作の名に値する作品の誕生であった。以降、「パノラマ島奇談」等の傑作を相次ぎ発表、『蜘蛛男』以下の通俗長編で一般読者の、『怪人二十面相』に始まる年少物で少年読者の圧倒的な支持を集めた。推理小説の研究紹介や、新人作家育成にも尽力した巨人である。