左腕に黒蜥蜴の刺青をした美貌の黒衣婦人。社交界の花形にして暗黒街の女王は、大阪の富豪岩瀬家の秘宝「エジプトの星」とその愛娘を狙って、大胆にも明智小五郎に挑戦状を叩きつけてきた! 三島由紀夫の脚色による映画・演劇によって、さらにその名を天下に知らしめた、妖しい女賊と名探偵との宿命的な恋を描く長編推理。挿絵=林唯一
*三輪明宏主演・演出により、2003年、05年、07年に舞台化公演
*宝塚歌劇花組により2007年春、舞台化公演
江戸川乱歩
(エドガワランポ )1894年生、1965年歿。大正12年の〈新青年〉誌に掲載された「二銭銅貨」がデビュー作。それはまた、わが国で初めて創作の名に値する作品の誕生であった。以降、「パノラマ島奇談」等の傑作を相次ぎ発表、『蜘蛛男』以下の通俗長編で一般読者の、『怪人二十面相』に始まる年少物で少年読者の圧倒的な支持を集めた。推理小説の研究紹介や、新人作家育成にも尽力した巨人である。