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南アフリカ連邦の鉄道トンネル内部で発見された男の死体。それは一見、何の奇もない事故死のようだったが、ファンダム警部の緻密な捜査により、事件は一転して凶悪犯罪の様相を帯びる。しかし、警部はそのとき自分が悪質なトリックを弄する犯人を相手にしているとは気づかなかった。やがて舞台は南アフリカからスコットランドへ移り、ロス警部が引き継いで犯人を追う。フレンチ警部の前身ともいうべき両警部の活躍を描く、クロフツ初期の快作。訳者あとがき=橋本福夫
F・W・クロフツ
1879年、アイルランド、ダブリン生まれ。鉄道技師であったが、病を得て長く休養した間に構想した『樽』を1920年に上梓し、好評を博する。続いて『ポンスン事件』『製材所の秘密』『フローテ公園の殺人』を発表。第5作『フレンチ警部最大の事件』でフレンチ警部を創造し、以後探偵役として定着させた。著書に『クロイドン発12時30分』『サウサンプトンの殺人』『フレンチ警部と毒蛇の謎』『フレンチ警視最初の事件』『殺人者はへまをする』等多数。1957年没。