ガソリンの危険性を除くという化学的大発見の実用化計画が進められていた。巨万の富を期待する四人の若者と資金援助をする老人一人。化学会社との契約を目前に、その会社から派遣された調査員が連絡船上から姿を消し数日後に水死体となって発見された。ベルファスト警察の要請で捜査に乗り出すフレンチ警部。一見単純そうな事件だったが。
F・W・クロフツ
1879年、アイルランド、ダブリン生まれ。鉄道技師であったが、病を得て長く休養した間に構想した『樽』を1920年に上梓し、好評を博する。続いて『ポンスン事件』『製材所の秘密』『フローテ公園の殺人』を発表。第5作『フレンチ警部最大の事件』でフレンチ警部を創造し、以後探偵役として定着させた。著書に『クロイドン発12時30分』『サウサンプトンの殺人』『フレンチ警部と毒蛇の謎』『フレンチ警視最初の事件』『殺人者はへまをする』等多数。1957年没。