私はジョージ・サリッジ。バーミントン動物園の園長だ。仕事はともかく家庭に満足しているとは言えない。だから博打に入れあげることにもなった。運命の女性に逢った今や、二重生活を支える資金も必要だ。だから“叔母の遺産で万事解決”の皮算用が吹っ飛んだ衝撃といったらなかった。あげく悪事のお先棒を担がされ、心沈む日々。しかも、事故と処理された一件をフレンチという首席警部が掻き回している……。クロフツ最後の未訳長編、いよいよ登場! 解説=戸川安宣
*第8位『IN★POCKET』2010年文庫翻訳ミステリー・ベスト10/作家部門
*第10位『2011本格ミステリ・ベスト10』海外ランキング
F・W・クロフツ
1879年、アイルランド、ダブリン生まれ。鉄道技師であったが、病を得て長く休養した間に構想した『樽』を1920年に上梓し、好評を博する。続いて『ポンスン事件』『製材所の秘密』『フローテ公園の殺人』を発表。第5作『フレンチ警部最大の事件』でフレンチ警部を創造し、以後探偵役として定着させた。著書に『クロイドン発12時30分』『サウサンプトンの殺人』『フレンチ警部と毒蛇の謎』『フレンチ警視最初の事件』『殺人者はへまをする』等多数。1957年没。