●中村融氏――「途方もない奇想を情感たっぷりに語る短編の名手」
途方もない奇想を情感たっぷりに語る短編の名手ハミルトンの傑作10編を精選。カナダ奥地で発見されたゼリー状の奇妙な生物の驚くべき正体は(表題作)。人里離れた山中に落下した多面体状の隕石が秘めた秘密(「呪われた銀河」)。《キャプテン・フューチャー》と同じ宇宙を舞台にした冒険譚(「失われた火星の秘宝」)。未来が現実となったときのSF作家の哀愁(「プロ」)など。編者あとがき=中村融
「アンタレスの星のもとに」
「呪われた銀河」
「ウリオスの復讐」
「反対進化」
「失われた火星の秘宝」
「審判の日」
「超ウラン元素」
「異境の大地」
「審判のあとで」
「プロ」
エドモンド・ハミルトン
1904年、オハイオ州生まれ。父親は漫画家、母親は元教師。秀才の誉れ高く10歳で高校へ入学、14歳でウエストミンスター・カレッジに入学し物理学を専攻するが、文学にかぶれて中退。鉄道職員の仕事の傍ら、愛読していたA・メリットやエドガー・ライス・バローズの影響を受けた小説を書きはじめる。1926年、〈ウィアード・テールズ〉誌より「マムルスの邪神」でデビュー。恒星系や銀河をたびたび危機に陥れることから“世界の破壊者(ワールド・レッカー)”の異名をとる。代表作は〈スター・キング〉2部作、〈キャプテン・フューチャー〉〈スターウルフ〉シリーズ、『虚空の遺産』『時果つるところ』など。1977年歿。夫人は、やはり著名なSF作家のリイ・ブラケット。
中村融
(ナカムラトオル )1960年生まれ。中央大学法学部卒、英米文学翻訳家。編著に「影が行く」「時の娘」「星、はるか遠く」、主な訳書にウェルズ「宇宙戦争」、ウィンダム「トリフィド時代」、ブラッドベリ「万華鏡」「何かが道をやってくる」ほか多数。