奇想SF短編の名手ハミルトンの傑作短編集、幻想怪奇編。楽園のような孤島に漂着した男が出会った一人の美少女。彼女は、この島のすべてが〈眠れる人〉の見ている夢だという……驚愕の表題作をはじめ、太古の神殿を発掘中の一隊を襲った幻想的な事件を描く「蛇の女神」、見つめることで相手を病気にし殺すことさえできる力を持つ一族との闘い「邪眼の家」など5編を精選して収録。編者あとがき=中村融
「蛇の女神」
「眠れる人の島」
「神々の黄昏(たそがれ)」
「邪眼(じゃがん)の家」
「生命の湖」
エドモンド・ハミルトン
1904年、オハイオ州生まれ。父親は漫画家、母親は元教師。秀才の誉れ高く10歳で高校へ入学、14歳でウエストミンスター・カレッジに入学し物理学を専攻するが、文学にかぶれて中退。鉄道職員の仕事の傍ら、愛読していたA・メリットやエドガー・ライス・バローズの影響を受けた小説を書きはじめる。1926年、〈ウィアード・テールズ〉誌より「マムルスの邪神」でデビュー。恒星系や銀河をたびたび危機に陥れることから“世界の破壊者(ワールド・レッカー)”の異名をとる。代表作は〈スター・キング〉2部作、〈キャプテン・フューチャー〉〈スターウルフ〉シリーズ、『虚空の遺産』『時果つるところ』など。1977年歿。夫人は、やはり著名なSF作家のリイ・ブラケット。
中村融
(ナカムラトオル )1960年愛知県生まれ。中央大学卒業。SF・ファンタジイ翻訳家、研究家、アンソロジスト。主な訳書に、ウェルズ『宇宙戦争』『モロー博士の島』、ブラッドベリ『万華鏡』ほか多数。創元SF文庫での編著に『影が行く』『地球の静止する日』『時の娘』『時を生きる種族』『黒い破壊者』がある。