イギリスの世界的考古学者を父にもつ冒険好きの娘アンは、地下鉄の駅でナフタリン臭い服を着た男の変死を目撃し、その場に現われた茶色の服を着た男によって、国際的スパイ活動の渦中に巻き込まれてしまった。舞台はロンドンからアフリカへ……。社交界の花形、ギャングのボス、諜報大佐などが暗躍する、異色のスパイ・スリラーである!
アガサ・クリスティ
イギリスの作家。1890年生まれ。1920年に『スタイルズ荘の怪事件』でデビューして以来、長編と短編集あわせて100冊を超す作品を発表した。巧妙な着想と錯綜したプロット構成に、独創的なトリックの加わった『アクロイド殺害事件』や『オリエント急行の殺人』『ABC殺人事件』といった多くの作品が、古典的名作としての評価を確立している。71年には長年の功績により、大英帝国勲章(DBE)を授与された。〈ミステリの女王〉たる彼女の創造した名探偵には、エルキュール・ポワロやミス・マープルなどがいる。76年没。