ホームズとワトスン博士のように、エルキュール・ポワロとヘイスティングズ大尉の名コンビも、珠玉のようなクリスティの短編に活躍する。「戦勝舞踏会事件」を初め「チョコレートの箱」「クラブのキング」「潜水艦の設計図」等全11編を収録した。
「戦勝舞踏会事件」
「料理女を探せ」
「マーキット・ベイジングの謎」
「呪われた相続」
「潜水艦の設計図」
「ヴェールをかけたレディ」
「プリマス急行」
「消えた鉱山」
「チョコレートの箱」
「コーンウォールの謎」
「クラブのキング」
アガサ・クリスティ
イギリスの作家。1890年生まれ。1920年に『スタイルズ荘の怪事件』でデビューして以来、長編と短編集あわせて100冊を超す作品を発表した。巧妙な着想と錯綜したプロット構成に、独創的なトリックの加わった『アクロイド殺害事件』や『オリエント急行の殺人』『ABC殺人事件』といった多くの作品が、古典的名作としての評価を確立している。71年には長年の功績により、大英帝国勲章(DBE)を授与された。〈ミステリの女王〉たる彼女の創造した名探偵には、エルキュール・ポワロやミス・マープルなどがいる。76年没。
厚木淳
(アツキジュン )1930年、東京日本橋に生まる。1953年、京都大学卒業。東京創元社取締役編集部長を経て、翻訳家。訳書に、火星シリーズをはじめとする、東京創元社より刊行のバローズ全作品、クリスティ『晩餐会の13人』『ポワロの事件簿1,2』、ほか多数がある。2003年歿。