― 本格ミステリ―
ジェム伯父はその日、由緒正しい〈大鎖〉を着け、新会長として浮かれ鱈同志の会に臨んだ。ところが席上、その鎖が忽然と姿を消してしまう。セーラとマックスは新婚早々……
お隣で掃除婦さんが掃除機のコードで絞殺され、疑われたのは近所の主婦一同。わが家を守るためジェーンは探偵役を買って出た。シリーズ第1弾。
今なお読者を魅了してやまない名探偵シャーロック・ホームズ。本書は気鋭の英国女流がこの不出世の天才を甦らせたファン必読の傑作集である。傘をとりに戻ったきり一切の消息を絶った給仕長……
息抜きがてらビターソーンと二人きりの時を過ごそうと、セーラは夏の別荘地を訪れた。だが、高価な骨董品、ビルバオの鏡が留守宅に置き去りにされたのを皮切りに……
「眠そうですね、ケリングさん?」ビターソンがこちらを見て微笑んだ。マダムの御殿と呼ばれる風変わりな美術館へとやってきたのだが、暖かい四月の午後、自然に心も緩んでしまう。けれど微……
英国ミステリ界の重鎮ブランドの、独特の調理法にもとづく16の逸品。コックリル警部登場の重厚な本格物「婚姻飛翔」、スリルに満ちた謎解きゲームの顛末を描く名作「ジェミニー・クリケット事件」、あまりにもブラックなクリスマス・ストーリー「この家に祝福あれ」など、ミステリの真髄を示す傑作短編集。
「ジェイク、あたし脅迫されてるの」そう言って、ラジオのスター歌手ネルは姿を消した。番組に穴をあけてはと必死になるジェイクだったが、間の悪いことに、彼女の元恋人の射殺体を発見して……
セーラはため息をついた。生活のため自宅を下宿に改造する気になったのだが、何を提案しようが一族が盛大にもめることぐらい、予期しているべきだった。でも諦めるわけにはいかない。自ら……
ユニオン・クラブの談話室で3人のメンバーが雑談に花を咲かせていると、傍らで微睡(まどろ)んでいたグリズウォルドが目を覚まし、奇想天外な挿話を語りだす。優れた洞察力で事の真相を……
ボストン・コモン近く。セーラは納骨堂の開扉に立ち会っていた。葬儀におしかけてくる人たちに何を食べさせたものかと考えながら。だが物思いはすぐに断ち切られる。ようやく開かれた……
1940年代、シカゴ。とある路地で、3人の郵便屋が相ついで殺されるという事件が発生した。弁護士マローンは飲み代欲しさに首を突っこんだが……
ニューヨークを発ち、一路リオへ――。船旅は快適なものとなるかに見えたが、出帆して二日め、乗客の一人が殺されるという事件が突発した。状況からして……
大学の実験室で、化学実験中の学生が毒ガスを吸引し死亡。事故死か。自殺か。指導教官は自ら捜査に乗り出すが……殺人だとすると第一の容疑者は教官自身なのだ。鬼才初の長編推理小説。
男はいつも、フォード・ゼファーに乗って現れた。夫の留守中、いそいそとその男を迎え入れるルイーズのことを思うと、隣に住むスーザンの心は痛んだ。夫に愛人ができた末……
ヨークシャーの荒野に立つ陰気なスターヴェル屋敷が一夜にして焼け落ち、当主と召使夫婦の三人が焼死した。だが、この火災に疑問をいだき、犯罪のにおいを嗅ぎとった……
徹夜の訊問明けに舞いこんだその話を聞いて、ウェクスフォードは不機嫌になった。十六年前にヴィクターズ・ピースで発生した女主人殺し。初めて担当した殺人事件ながら……
対角線を引いたように内部が二分され、年老いた双子の兄弟が、それぞれの家族を率いて暮らすエンジェル家。密室ミステリの古典的名作。江戸川乱歩推薦!
殺人を告発する匿名の手紙と状況証拠から捜査を開始したウェクスフォード首席警部だが、死体さえ見つからぬ状況に困惑は深まる。本当に殺人はあったのか? 著者初期の傑作。
結婚し渡英したサリーの許へ届いた友人の手紙で、おばが夫を毒殺して自殺したことを知らされた。が、彼女にはおばが7人いるのに、肝心の名前が……
二転三転するプロット、意外な結末。第一線の作家が連作した話題の推理長編。