「魔女」と称された著者が描く、背筋も凍る人間たちの悪意
皆が死んだこのお城であたしたちはとっても幸せ――外の世界との交流を断ち、姉妹だけで過ごしていた少女たちに向けられる容赦ない悪意とその恐ろしい結末を描いた『ずっとお城で暮らしてる』の著者シャーリー・ジャクスンの選りすぐりの短編を集めた傑作集『なんでもない一日』が刊行されました。
ジャクスンが描く作品は、超自然的要素を排し、身近にいる人間に潜む悪意を描くことでより恐怖を感じる作品が多く、その作風から「魔女」と称されるほどでした。今回の短編集では強烈な悪意や妄想がもたらす現代的な脅威や、不思議なユーモアや優しさを湛えた著者らしからぬ作品まで、より幅広い内容となっています。
最近結婚したばかりの女性が食糧を求め店に行くと、周囲の人間がざわめき……おそろしい結末が予感される「スミス夫人の蜜月」、なぜか見知らぬ人々に善行を施す男の謎が読んでいくうちに「……え?」となる怪作「なんでもない日にピーナッツを持って」など、ジャクスンの本領発揮とも言うべき23編が堪能いただけます。他に、著者の育児エッセイ5編も併催。「魔女」と称された著者の母としての一面が対比されて、より作品の面白さを引き立てます。
ぜひ、あなたのお気に入りの1編を見つけてください。
【シャーリイ・ジャクスン 好評既刊】
・『ずっとお城で暮らしてる』
・『丘の屋敷』
〈アンソロジー〉
・『街角の書店 18の奇妙な物語』
(2015年10月30日)
大好評!痛快ヴィクトリア朝ミステリシリーズ第1弾!
今月の営業部のオススメは今年の5月に刊行して以来、勢いの止まらないコージーミステリの新定番『家政婦は名探偵』です。舞台はヴィクトリア朝イギリスですが、著者はアメリカの作家・エミリー・ブライトウェル。本国アメリカでは、1993年に刊行して以来、今も毎年新作を刊行し続けている人気シリーズです。
とびきり善人ではあるが、刑事としての才能はイマイチなウィザースプーン警部補。しかし近ごろの彼は、難事件をバッサバッサと解決している。というのも、捜査に行き詰まったとき、彼が雇う家政婦ジェフリーズ夫人に事件の話をすると不思議と考えがまとまり、たちまち事件を解決してしまうためだ。実はこのジェフリーズ夫人こそ、鋭い洞察力を持つ物語の真の探偵役。心優しいご主人のため、夫人と彼を慕う使用人たちはこっそり探偵団を結成し、事件解決のために奔走します。
今回の事件は毒キノコにより殺されたとみられる、あまり評判の良くない開業医の殺害事件。果たして使用人探偵団は、ウィザースプーン警部補に手柄をたてさせられるのか?
使用人たち全員が雇い主であるウィザースプーン警部補を慕い、彼のために(まぁ、好奇心旺盛というところも大いにありますが)事件解決に奮闘する姿が読んでいてとにかくほっこりします。
ご好評につき、来月9月初旬に待望のシリーズ第2弾『消えたメイドと空家の死体』を刊行! ますますパワーアップしたキャラクターたちの活躍に胸が躍る、痛快ミステリをどうぞお楽しみに!
〈家政婦は名探偵〉シリーズ
・『消えたメイドと空家の死体』 シリーズ第2弾(9月上旬刊行)
(2015年8月31日)
怖い、でもページを捲る手が止まらない傑作ミステリが待望の文庫化
今回営業部がオススメするのは、全国書店で多面展開中!刊行後重版も止まらない話題作『強欲な羊』です。
圧倒的な筆力で第7回ミステリーズ!新人賞を受賞した「強欲な羊」に始まる“羊”たちの饗宴。企みと悪意に満ちた、五編収録の連作集をご紹介いたします。
物語の核となるのは“羊”です。よく羊の目が不気味で苦手な人も多いですよね。その雰囲気を放つ“羊”が各編に登場し、物語に不穏な空気をもたらします。
美しい姉妹の陰湿な争いの果てに起こった悲劇、自分の息子とそっくりな友人の息子を目の当たりにした男の疑念、自分の婚約者を奪った幼なじみが巻き込まれた殺人事件の真相など、どれも波乱のありそうな、クセのある作品ばかり。その中毒性の高さは読者を病み付きにして離しません。
著者の美輪和音氏は、以前別の名義で映画『着信アリ』などの人気ホラー映画の脚本も手掛けた実力派。読めば予想を裏切る衝撃の展開と恐怖に慄くイヤミスで、普段の読書体験と違った快感を味わえます。しかし、ぜひ、それで読むのをやめないでください。二度三度読み直すと、散りばめられた伏線や構成の上手さに再度驚くことになりますよ!
暑さがますます厳しくなるこれからの季節、本書でゾクッと背筋を震わせる、イヤ〜な涼しさをご提供いたしましょう!
(2015年7月31日)
デビュー作が直木賞候補さらに日本SF大賞を受賞した著者渾身の傑作長編
第1作『盤上の夜』、第2作『ヨハネスブルグの天使たち』(早川書房)が連続して直木賞候補となり、それぞれ日本SF大賞、同特別賞を受賞した驚異の新鋭・宮内悠介が放つ、初の書下し長編が満を持して刊行となりました。
本作は火星を舞台に精神病医学の歴史を紐とく意欲作です。主人公の青年カズキは火星で生まれ、地球で育ち精神科医となった。そして、地球でのある出来事をきっかけに火星唯一の精神病棟に赴任する。そこは、かつて父親が勤めていた病院だった。しかし開拓地の精神病棟は人も薬も不足しており満足な治療を施せるとは言いがたい環境にあった。そんな中、沸き起こる数々の事件。やがてそれはカズキの出生の秘密と結びつき、驚愕の事実が発覚する……!
薬によってすべての精神疾患がコントロールしたに置かれた近未来。それでも死を求める人々。火星でのみ発症が相次ぐエクソダス症候群とはいかなる病なのか。閉鎖された空間に生きる人々の葛藤と孤独、感情の在り方、そして人とは何か──主人公が苦悩しながらも最後に希望の光を見つけるラストは感動的です。
様々なテーマが読み取れる本作。ぜひ深い読書体験を味わってみてください。
【宮内悠介 好評既刊】
・『盤上の夜』 冲方丁氏・穂村弘氏・宮部みゆき氏推薦!
・『折り紙衛星の伝説』(短編「薄ければ薄いほど」収録)
(2015年7月31日)
ニューヨーク最初の警官の活躍を描いた傑作長編、新カバーで登場!
今月営業部がオススメする一冊は、マイクル・コナリー大絶賛! ニューヨーク市警の始まりを描いた傑作ミステリシリーズ第1作、リンジー・フェイ『ゴッサムの神々』です。
舞台は1845年のニューヨーク。大火で顔にやけどを負い、職も財産も失ったティモシー(ティム)・ワイルドは、不本意ながら創設まもないニューヨーク市警の警官職に就きます。不慣れながらも、若いころからやっていたバーテンダーの経験を生かし、持ち前の観察力でめきめき頭角を現すティム。そんなある日、巡回中に一人の少女に出会います。「彼、切り刻まれちゃう」と口走る血まみれの少女。やがて、少女の言葉通り、胴体を十字に切り裂かれた少年の死体が発見され……。
猥雑で混沌としたニューヨークの街で、必死に生き抜く人々の人間ドラマも魅力的な本書。宗教観、移民排斥問題、貧困など、様々な社会的不安も伏線に織り込み、ミステリとして昇華させている傑作長編です。一度読み始めたら、後は一気読み! 読後の余韻も相まって、当時のニューヨークの世界から中々帰ってこられませんよ!
7月の中旬には待望の最新刊『7は秘密』を刊行いたします。今作で登場した個性豊かなキャラクターたちをより掘り下げ、今作以上の傑作ミステリに仕上がっております。どうぞお楽しみに!
【シリーズ最新刊】
・『7は秘密』(7月中旬刊行)
(2015年6月30日)
追いつめられる描写に思わず身震いする! 今年最大級の衝撃サスペンス
今年の夏、一番の話題作『夏の沈黙』は、イギリス本国において、大手版元による刊行権利をめぐる熾烈なオークションが繰り広げられ、さらに世界25か国の刊行が決まったというデビュー作です。日本でも本国と同時期に刊行されました。
「この本は私のことを書いている」という帯文言の通り、主人公のキャサリンが引っ越し先で見つけた本には彼女の過去が描かれていた。それは、決して誰にも知られてはいけない秘密。一方、亡くなった妻の日記から、旅先で命を落とした息子の死の真相を知った男が、息子を死に追いやった女への復讐を果たそうと1冊の本を書き上げる。そして──。
ずっと隠し通そうとした過去が、1冊の本を通して夫や息子、職場へと知れ渡っていく。これまで築き上げてきた信頼を失っていくキャサリン。しかし、彼女と復讐を誓う男が対峙したとき、思いもよらぬ真実が浮かび上がる……!
いったい20年前に何が起こったのか。彼女はなぜ語らないのか。終盤での展開にもう一度最初から読み直したくなる作品です。発売前に一般読者による読書モニターも実施。「ジェットコースターのような展開」「究極のサスペンス」と絶賛! ぜひ、今年最大級の衝撃をお楽しみください。
【読者モニターの皆様の声】
・最後まで読むことをお勧めする。私は泣いた。まさか最後に泣かされるとは思ってもみなかった。ミステリ好きの人は用意周到に張り巡らされた伏線に最後に気づき恐れおののくがいい。(20代女性)
・最初のページから、この先どうなるの? と、ハラハラさせる展開。展開の妙が素晴らしく、久しぶりにゆっくり読み進めた小説でした。ページをめくるのが勿体なかった!(40代男性)
・ばらばらの破片が、ページを進めるとともに、パズルのように空白の場所にあてはまってゆく。最後までどこへ向かうのかわからない究極のサスペンス。(50代男性)
・普段ミステリはあまり読まないが、読み終わる瞬間までわくわくし通しでした。結末が特に良かった。今すぐ冒頭から確認しつつ読み返したくてしょうがない。(20代女性)
・ジェットコースターのように一気に読み終えました。驚愕の真実と悲しい事実に、最後のページを読み終えたあとは、ふーっと息を長くはきながら静かに本を置きました。(40代女性)
(2015年6月30日)
たくらみだらけの予測不能ミステリ! 「腕貫探偵」シリーズの西澤保彦の傑作短編集
「腕貫探偵」シリーズ(実業之日本社文庫)や『七回死んだ男』(講談社文庫)でおなじみの作家・西澤保彦の短編集『赤い糸の呻き』に新オビを作成いたしました。
読者への出題編と解答編盛り込んだ「お弁当ぐるぐる」、停電時のエレベーターの中で起きた殺人事件「赤い糸の呻き」など、犯人当てから密室不可能犯罪までバラエティーに富んだ5編を収録した傑作ミステリ短編集です。全編がに読者の先入観の裏をかいて「あっ!」言わせる作品ばかり。思わず何度も読み返してしまうこと必至です。
また、本作に収録されている「お弁当ぐるぐる」に登場する音無警部を主人公とした新シリーズ『ぬいぐるみ警部の帰還』が5月に文庫化。さらに6月には続編となる『回想のぬいぐるみ警部』を刊行いたします。超絶イケメンで切れ者と知られる音無警部の頭の中は常にかわいいぬいぐるみのことで頭がいっぱい。しかし、その偏愛の観察眼が鋭く事件の謎を解き明かしていきます。脇を固める個性的なキャラクターも魅力的。ぜひ、短編集と併せて西澤ワールドをご堪能ください。
『赤い糸の呻き収録作』
「お弁当ぐるぐる」【ぬいぐるみ警部、初登場作品】
「墓標の庭」
「カモはネギと鍋のなか」
「対(つい)の住処」
「赤い糸の呻き」
【「ぬいぐるみ警部」シリーズ】
・『ぬいぐるみ警部の帰還』(5月文庫化)
・『回想のぬいぐるみ警部』(6月刊行 単行本)
(2015年4月30日)
『夜の床屋』の次はこれ!あの傑作が新カバーになって話題沸騰!
若竹七海の伝説的デビュー作『ぼくのミステリな日常』が、新カバーになって再び脚光を浴びています。ミステリファンにとって必読の一冊と言っても過言ではない傑作です。
建設コンサルタント会社の社内報に4月号から翌3月号までの1年間、正体不明の作家の短編が毎月掲載されるという設定の本書。作者の正体は編集長である若竹七海も知りません。しかし内容は抜群に面白い。小説に描かれるのは、ほんわかしたり少し怖かったりと、語り手の「ぼく」が見聞きした不思議な出来事の数々。その短編は月を追うごとに社内で大変な反響を呼び、「作者は誰だ?」の追及も熱を帯びます。そして12編すべて終わったときには……。
短編集としても楽しめるのが本書の素晴らしいところ! それぞれ違った魅力を持った、バラエティーに富んだ物語ですから、きっとあなたの心に残る一編が見つかるはずです。しかし本書はそれだけで終わる作品ではありません。一見なんのつながりもなかった12編が、「ちょっと長めの編集後記」以降でひとつの長編に姿を変えるのです。その衝撃はここでは語れません。ぜひお手に取ってご自身で体感してください!
(2015年3月31日)
たちまち重版!平成のエラリー・クイーン、衝撃のデビュー作が文庫化!
第22回鮎川哲也賞を受賞した青崎有吾『体育館の殺人』が大幅改稿し文庫化となりました。著者の青崎有吾さんはなんと大学に在学中に本作でデビュー。現在、短編集を含め3作シリーズ作品を刊行。若い感性と本格ミステリの伝統が合わさった学園ミステリの新旗手として注目を集めています。
学校内で起きた殺人事件。犯行可能なのは体育館にいた運動部員のみ。しかも、その時間は体育館は密室状態だった……!? 謎を解く鍵は残されていた1本の傘。探偵役を担った裏染天馬(うらぞめ・てんま)の推理が導き出す意外な犯人とは?
オーソドックスな問題定義に、ユーモラスなキャラクターを加え、真向に謎解きに向かう姿勢はエラリー・クイーンを彷彿させる論理展開です。文庫化にあたり「読者への挑戦」を収録。たちまち重版となった面白さは、鮎川賞受賞時の選考委員の先生方もお墨付きです。ぜひ、お手に取ってみてください。
【選考委員、絶賛!!】
・芦辺拓 学園を舞台にしたミステリだから、校内で殺人を、しかも不可能犯罪を起こす。当たり前のようでいて、なぜか最近巧妙に避けられている気がする展開に、堂々と挑んだ姿勢に拍手したくなりました。
・北村薫 クイーンに対する敬意が、はっきりとうかがえ、その点で実に嬉しい作品だった。劇場に残された帽子から推理を組み立てるように、何でもない傘一本から、あれこれ考えていくやり方には、読んでいて、にこにこしてしまった。
・辻真先 中村青司建築シリーズのパロディとわかったときには笑わされました。たぶんこの作品名が、作者が構想したときのイメージを、いちばんすんなりと読者に提示しているのでしょう。
〈裏染シリーズ〉好評既刊
・水族館の殺人
・風ヶ丘五十円玉祭りの謎【短編集】
(2015年3月31日)
このミステリ新人作家がすごい! 注目作家のデビュー作が文庫化
第5回ミステリーズ!新人賞受賞作、梓崎優『叫びと祈り』と競り合い、惜しくも受賞を逃した市井豊のデビュー作『聴き屋の芸術学部祭』が待望の文庫化となりました。その完成度は高く、ミステリーズ!新人賞の選考委員各氏からも絶賛されていたことが頷ける出来栄えです。
どんな相手からも話を聴かされてしまう「聴き屋」体質の大学生・柏木君。変人が集うと言われる芸術学部の文芸サークルに第三部〈ザ・フール〉に所属する彼のもとには様々な話題と謎が集まってきてしまう。成り行きで謎解きまでさせられる羽目になる柏木君の推理とは……?
結末が欠けた戯曲の謎の解明を演劇部の主演女優から柏木君が強要される「からくりツィスカの余命」は一読の価値ありです。聴き屋の柏木君ほか、誰よりもネガティブな性格の先輩、推理マニアの美男子学生作家など、愉快な面々が謎解きを繰り広げる快作をぜひお手に取ってみてください。
そして、長らくお待たせしました!待望のシリーズ第2弾『人魚と金魚鉢』(ミステリ・フロンティア)も2015年2月に刊行いたします。読み終えた後に爽やかな余韻の残る表題作や聴き屋だからこそ解けなかった謎など、ますます面白さが際立つこちらもぜひ、合わせてよろしくお願いいたします。
「聴き屋」シリーズ第2弾
・人魚と金魚鉢(ミステリ・フロンティア)【2015年2月27日刊行】
「聴き屋」シリーズ収録、学園ミステリ・アンソロジー
・放課後探偵団
(2015年2月27日)

















