― 本格ミステリ―
その名も高い「とむらい機関車」を始め「デパートの絞刑吏」「白鮫号の殺人事件」「あやつり裁判」といった名探偵青山喬介の全活躍譚など、本格探偵作家の傑作9編ほかエッセイ。挿絵附。
1989年度週刊文春ミステリー・ベスト10で一位となった『不安な産声』、不思議な誘拐劇の裏に潜む犯人の目的は何か、という斬新な趣向の『華やかな喪服』。中期の代表作。
久しく鳴りを潜めていた怪盗が、最愛の伴侶を右腕にして復活する日が来た。意気揚々と金満家の邸宅に乗り込んだが、相次ぐ番狂わせに進退窮まり……表題作など12編。
解体されナンバリングされた挙句、消え去った3人の死体。不審な人影の追跡劇と、密室からの人間消失。配達された小指。コンクリートに残された足跡――名探偵・蜘蛛手が……
京葉道路に倒れていた女を利用して一儲け企んだ男たち。警察と素人探偵を巻き込み二転三転する誘拐作戦の行方は? 語り手捜しに始まる趣向に満ちたトリッキイな本格ミステリ。
絵画を眺めてから眠りに就くと、その絵の中に入り込んでしまう……楯経介の不思議な体験が、夢幻的な犯罪の世界へと読者を誘う!? 鮎川哲也賞作家、渾身の書下し長編。
わたしが結婚し、そしてこの手で殺した男は、背が高くて東大出だった――理想と見えた結婚生活の破綻を語る衝撃の手記「背が高くて東大出」など10編。
【第6回鮎川哲也賞佳作】8年前に自殺した従姉が住んでいたアパートに越した姉弟が、天井裏で古びた人形を見つけた。人形が秘めていた告発とも読めるメッセージを追って過去への旅を始めた姉弟は……。
「ビゼーよ、帰れ シューマンは待つ」謎めいた新聞広告の背後に、美貌の人妻の失踪事件が絡んでいた。赤の連鎖が導く真相とは?(『赤の組曲』)。製菓会社社長の娘が誘拐され、身代金を持参した母親が刑事の目の前で刺殺される。……
弁護士事務所に出向した探偵社の社員が勝ち味の薄い難件に直面、やたら不利な情況証拠と人手不足の上に手弁当を強いられ、果ては女難にあえぎつつ東奔西走する中編「雲の中の証人」など9編。
優雅なドレスに身を包み、綺麗な靴を履いて観客席に現れるおっとりした女性・虹森多佳子。超弩級の野球音痴でありながら、なぜかプロ野球球団のオーナーを務める彼女は、奇妙な謎を次々と解決に導く!
ある男の殺害期成同盟を結んだ4名の目論見と決行の実際を描く「われら殺人者」、最後の一行へ見事に収斂する緊迫感に満ちた佳品「崖下の家」など11編。
江戸川乱歩の「一人の芭蕉の問題」を読んで感動した著者が、「文学精神と謎の面白さの全き合一を求めよう」と、推理小説の創作に取り組んだ最初期の二長編……
カクテルリストの充実した小粋な店〈エッグ・スタンド〉の常連は、不思議な話を持ち込む若いカップルや何でもお見通しといった風の紳士など個性派揃い。そこで披露される謎物語と人生模様。キュートなミステリ連作集。
探偵小説の巨匠・天城俊策の一家を巡る、恋と計略と悲痛な死の謎。隻腕の青年刑事・五百村は敢然と謎に立ち向かう。戦前の名古屋を舞台に、天災人災に翻弄されながらも必死に生きる青年……
4時起きで仕事に向かう拾い屋コンビがとんでもない収穫に出会す騒動記「星を拾う男たち」や、旧〈宝石〉終刊号を飾った“史上最も完全な予告殺人”を描く「極楽案内」など11編。
会社帰りの電車で思いも寄らない再会を果たした二人が織り成す、少々雲行きの怪しい友情――腐れ縁の行方を軽快な筆致で描く「親友記」など9編。
金城学園大学の〈革命〉に乗り出した学生六人は、手始めに悪名高い学部長夫人をノックアウトし、意気揚々と第二段階へ駒を進める。そこへ降って湧いた……
出所したばかりの男が刺殺された。第一容疑者の女にその余裕はなかったはずだが、兇器が出てこない?!――秀作『危険な童話』と、デパートの……
渋谷のおんぼろビルにある「霊感占い所」には、今日も怪現象に頭を悩ますお客さんがやって来る。そんな彼らの相談に応えて占い師が口にするのは……