月影市で探偵業を営む十村のもとに殺人事件の調査依頼が舞い込む。依頼人は元恋人の妹、しかも久しぶりの依頼にはりきる十村は、旧友の警察署長も巻き込み早速調査に着手する。しかし、過去に起きた別の未解決殺人事件との奇妙な共通点が見つかり、さらに別の事件の存在も浮かび上がる。ドミノ倒しのように真実を追えば追うほど連鎖する事件の真相に探偵が迫るとき、恐るべき結末が待ち受ける。人間の歪みと捩れを浮き彫りにする、衝撃の長編ミステリ。解説=三島政幸
貫井徳郎
(ヌクイトクロウ )1968年東京都生まれ。早稲田大学商学部卒。93年に『慟哭』でデビュー。2010年『乱反射』で第63回日本推理作家協会賞を、『後悔と真実の色』で第23回山本周五郎賞を受賞。『光と影の誘惑』『プリズム』『愚行録』『ミハスの落日』『明日の空』『新月譚』『ドミノ倒し』『私に似た人』『邯鄲の島遥かなり』『紙の梟 ハーシュソサエティ』など著作多数。