女子大生・三浦鈴女は、殺害された人気アイドル・神崎あやが中学時代の同級生であったことに衝撃を覚える。傷だらけの状態で発見されたあやには、刺青を消した痕があった。続いて、別の同級生が隅田川で水死体として発見される。彼女にもあやと同じ場所に、同じ刺青があった。2人の右肩にあった小さな薔薇の刺青。刺青同様に2人の同級生が消したかった過去とは何か。あやの事件の記事を依頼された柚木草平は、鈴女たちの中学時代に事件の発端があるとみて関連性を調べ始めた――。《柚木草平シリーズ》番外編ともいうべき傑作、初文庫化で登場。著者あとがき=樋口有介/解説=南波雅
樋口有介
(ヒグチユウスケ )1950年群馬県生まれ。國學院大學中退。88年、『ぼくと、ぼくらの夏』でサントリーミステリー大賞読者賞を受賞しデビュー。『風少女』が第103回直木賞候補となる。『彼女はたぶん魔法を使う』に始まる〈柚木草平シリーズ〉をはじめ、青春味溢れる作品で人気を博す。著作は他に、『林檎の木の道』『雨の匂い』『ピース』『夢の終わりとそのつづき』『捨て猫という名前の猫』などがある。