「秋川瑠璃は自殺じゃない。そのことを柚木草平に調べさせろ」、月刊EYES編集部の小高直海が受けた一本の電話。その事件とは、女子中学生が三軒茶屋の雑居ビルから飛び降りたものだった。人も羨む絶世の美少女は、なぜ雑居ビルへ向かったのか、柚木草平は鋭い推理を巡らせる。亡くなった少女の母親、彼女の通っていた原宿のアクセサリーショップの経営者……、柚木が訪ねるのは美女ばかり。“永遠の38歳”の青春を描く待望の最新長編。
樋口有介
(ヒグチユウスケ )1950年群馬県生まれ。國學院大學中退。88年、『ぼくと、ぼくらの夏』でサントリーミステリー大賞読者賞を受賞しデビュー。『風少女』が第103回直木賞候補となる。『彼女はたぶん魔法を使う』に始まる〈柚木草平シリーズ〉をはじめ、青春味溢れる作品で人気を博す。著作は他に、『林檎の木の道』『雨の匂い』『ピース』『夢の終わりとそのつづき』『捨て猫という名前の猫』などがある。