娘の加奈子と訪れたスキー場で、俺は偶然に高校時代の初恋の女性・卯月実可子と再会する。20年前と変わらぬ美しさの彼女だったが、再会から1ヵ月後に自らが経営する雑貨店で何者かに殺害された。彼女の娘と姪からの依頼で殺人事件の調査を開始した俺は、容疑者の高校の同級生たちを訪ねていくが……。柚木の初恋、そして高校時代、警察官を目指すきっかけとなった悲劇などが語られる、青春私立探偵シリーズ第2弾。切ない余韻の残る秀逸な傑作ミステリ。著者あとがき=樋口有介/解説=千街晶之
樋口有介
(ヒグチユウスケ )1950年群馬県生まれ。國學院大學中退。88年、『ぼくと、ぼくらの夏』でサントリーミステリー大賞読者賞を受賞しデビュー。『風少女』が第103回直木賞候補となる。『彼女はたぶん魔法を使う』に始まる〈柚木草平シリーズ〉をはじめ、青春味溢れる作品で人気を博す。著作は他に、『林檎の木の道』『雨の匂い』『ピース』『夢の終わりとそのつづき』『捨て猫という名前の猫』などがある。