
2025.05.11
第56回星雲賞参考候補作に東京創元社の作品が多数選出されました
第56回星雲賞の参考候補作が発表されました。同賞は、日本SF大会参加登録者によるファン投票で決定される、優秀なSF作品およびSF活動に贈られる賞であり、日本のSFおよび周辺ジャンルのアワードとしては最も長い歴史を持つ賞です。
第56回星雲賞の投票は5月11日(日)~6月30日(月)にインターネット上で行なわれ、7月中旬に受賞作を発表し、授与式は8月31日(日)に第63回日本SF大会「かまこん」(会場:東京都大田区)でおこなわれる予定です。詳細は下記リンク先をご確認ください。
●第63回日本SF大会「かまこん」
●第56回星雲賞 参考候補作一覧ページ
今回、東京創元社の刊行作品で選出されたのは、以下の作品です。
【日本短編部門】
●宮西建礼「星海に没す」/『銀河風帆走』(創元日本SF叢書)
第45回日本SF大賞特別賞受賞
第4回創元SF短編賞を受賞した表題作をはじめ書き下ろし一編を含む五編を収録
人類の存続を賭けて別の銀河をめざす、人格を持った宇宙船たちを襲う試練(銀河風帆走)、地球に衝突するコースをとった小惑星の軌道をそらす計画に挑む高校生たち(もしもぼくらが生まれていたら)、史上初の恒星間宇宙船同士による“一騎討ち”の行方(星海に没す)……ハードSFの俊英が放つ、瑞々しい感性に満ちた第一短編集。解説=鈴木力
【海外長編部門】
●マーサ・ウェルズ/中原尚哉訳『システム・クラッシュ マーダーボット・ダイアリー』(創元SF文庫)
暴走人型警備ユニットの“弊機”は、植民惑星での異星遺物汚染事件に巻き込まれるが、ARTこと探査船ペリヘリオン号の協力もあり、窮地を脱する。だがこの惑星を狙う冷酷な企業は、いまだあきらめてはいなかった。しかも弊機は謎の障害に襲われ……ヒューゴー賞4冠&ネビュラ賞2冠&ローカス賞5冠&日本翻訳大賞受賞の大人気シリーズ、待望の第4弾!ローカス賞受賞作。解説=池澤春菜
●ラヴィ・ティドハー/茂木健訳『ロボットの夢の都市』(創元海外SF叢書)
太陽系を巻き込んだ大戦争から数百年。宇宙への脱出を夢見るジャンク掘りの少年、それ自体がひとつの街のような移動隊商宿で旅をつづける少年、そして砂漠の巨大都市の片隅で古びた見慣れぬロボットと出会った女性。彼らの運命がひとつにより合わさるとき、かつて一夜にしてひとつの都市を滅ぼしたことのある戦闘ロボットが、長い眠りから目覚めて……世界幻想文学大賞作家が贈る、どこか懐かしい未来の、ふしぎなSF物語。
●P・ジェリ・クラーク/鍛治靖子訳『精霊を統べる者』(創元海外SF叢書)
20世紀初頭、ジン(精霊)の魔法と科学の融合により大発展した魔都カイロ。そこへ40年前に姿を消した伝説の魔術師を名乗る怪人が現れ、彼を崇拝する人々を焼き尽くした。エジプト魔術省の女性エージェント・ファトマは、恋人の女性シティ、新人パートナーのハディアらと共に捜査に乗り出す。ネビュラ賞、ローカス賞、イグナイト賞、コンプトン・クルック賞の4冠に輝いた新鋭の第一長編! 解説=渡邊利道
【海外短編部門】
●ベッキー・チェンバーズ/細美遥子訳「緑のロボットへの賛歌」/『ロボットとわたしの不思議な旅』(創元SF文庫)
「ちょっと休憩が必要なすべての人に捧ぐ」──ロボットたちと人間が平和裏にたもとを分かってから幾歳月。悩みを抱えた人々のためにお茶を淹(い)れる〈喫茶僧〉のデックスは、ある日思い立って文明社会を離れ、大自然に向かう。そこで出会ったのは、変わり者の古びたロボットだった。心に染み入る優しさに満ちた、ヒューゴー賞、ローカス賞、ユートピア賞受賞の二部作を一冊に収録。
●グレッグ・イーガン/山岸真訳「クライシス・アクターズ」/『シリコンバレーのドローン海賊 人新世SF傑作選』(創元SF文庫)
人新世(じんしんせい)とは「人間の活動が地球環境に影響を及ぼし、それが明確な地質年代を構成していると考えられる時代」、すなわちまさに現代のことである。パンデミック、世界的経済格差、人権問題、資源問題、そして環境破壊や気候変動問題……未来が破滅的に思えるときこそ、SFというツールの出番だ。グレッグ・イーガンら気鋭の作家たちによる、不透明な未来を見通すためのアンソロジー。解説=渡邊利道