人新世(じんしんせい)とは「人間の活動が地球環境に影響を及ぼし、それが明確な地質年代を構成していると考えられる時代」、すなわちまさに現代のことである。パンデミック、世界的経済格差、人権問題、資源問題、そして環境破壊や気候変動問題……未来が破滅的に思えるときこそ、SFというツールの出番だ。グレッグ・イーガンら気鋭の作家たちによる、不透明な未来を見通すためのアンソロジー。解説=渡邊利道
序文(佐田千織訳)
メグ・エリソン「シリコンバレーのドローン海賊」(中原尚哉訳)
テイド・トンプソン「エグザイル・パークのどん底暮らし」(小野田和子訳)
ダリル・グレゴリイ「未来のある日、西部で」(小野田和子訳)
グレッグ・イーガン「クライシス・アクターズ」(山岸真訳)
サラ・ゲイリー「潮のさすとき」(新井なゆり訳)
ジャスティナ・ロブソン「お月さまをきみに」(新井なゆり訳)
陳楸帆(チエン・チウフアン)「菌の歌」(中原尚哉訳)
マルカ・オールダー「〈軍団(レギオン)〉」(佐田千織訳)
サード・Z・フセイン「渡し守」(佐田千織訳)
ジェイムズ・ブラッドレー「嵐のあと」(金子浩訳)
ジェイムズ・ブラッドレー「資本主義よりも科学――キム・スタンリー・ロビンスンは希望が必須と考えている」(金子浩訳)
謝辞(佐田千織訳)
編者紹介
訳者紹介
解説(渡邊利道)
ジョナサン・ストラーン
1964年北アイルランド生まれ、オーストラリア在住。90年にSF/FT専門誌Eidolonを創刊、99年まで共同経営者・共同編集人を務めた。フリーランスの編集者・アンソロジストとして活躍し、2010年には編集者としての活動が評価されて世界幻想文学大賞の特別賞を受賞している。また、同年からゲイリー・K・ウルフと共同で制作しているポッドキャストCoode Street Podcastは、2021年ヒューゴー賞ファンキャスト部門を受賞するなど高い評価を受けている。
中原尚哉
(ナカハラナオヤ )1964年生まれ。東京都立大学人文学部英米文学科卒。訳書にヴィンジ『遠き神々の炎』『星の涯の空』ほか多数。2021年、ウェルズ『マーダーボット・ダイアリー』で第7回日本翻訳大賞を受賞。