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6月の夕暮れに起きた交通事故の結果、女医の目の前でその夫を死なせたバラードは、その後、車の衝突と性交の結びつきに異様に固執する人物、ヴォーンにつきまとわれる。理想通りにデザインされた完璧な死のために、夜毎リハーサルを繰り返す男が夢想する、テクノロジーを媒介にした人体損壊とセックスの悪夢的幾何学を描く。バラードの最高傑作との誉れも高い問題作、初文庫化。訳者あとがき=柳下毅一郎
J・G・バラード
イギリスの作家。1930年生。「人間が探求しなければならないのは、外宇宙(アウタースペース)ではなく、内宇宙(イナースペース)だ」として、SFの新しい波(ニュー・ウェーブ)運動の先頭に立った。人間の精神世界をテーマに、シュールな技法とファンタスティックな文体で独自の世界を築いた。『沈んだ世界』『結晶世界』などの長編と共に、『時の声』をはじめとする数々の短編集でも、独特の世界を楽しむことができる。2009年歿。
柳下毅一郎
(ヤナシタキイチロウ )翻訳家、映画批評家。1963年、大阪府生まれ。東京大学工学部卒業。著作に『愛は死より冷たい──映画嫌いのための映画の本』『シネマ・ハント──ハリウッドがつまらなくなった101の理由』などがある。主な訳書はJ・G・バラード『クラッシュ』、ニール・ゲイマン『ネバーウェア』、R・A・ラファティ『地球礁』『宇宙舟歌』、ジーン・ウルフ『ケルベロス第五の首』『デス博士の島その他の物語』(共訳)、アラン・ムーア&エディ・キャンベル『フロム・ヘル』など。

















