17世紀、ロンドン。国王暗殺の噂が流れるなか、治安判事エドマンド・ゴドフリー卿が不可解な失踪を遂げ、5日後に無惨な遺体となって発見された。旧教徒の陰謀か、私怨による復讐なのか。虚実綯い交ぜの密告、反国王派の策動も相俟って、一判事の死は社稷を揺るがす大事件へと発展……。不可能犯罪の巨匠J・D・Cが英国史上最大のミステリに挑戦、自ら探偵となって真相の究明に当たる。陰謀渦巻くチャールズ2世治下の英国を活写した、歴史ミステリの古典的名作。序/跋=ダグラス・G・グリーン
ジョン・ディクスン・カー/カーター・ディクスン
1906年アメリカ、ペンシルヴェニア州生まれ。1930年に予審判事アンリ・バンコランが登場する『夜歩く』を発表。ギディオン・フェル博士シリーズの『帽子収集狂事件』、ノンシリーズの『皇帝のかぎ煙草入れ』のほか、カーター・ディクスン名義によるヘンリ・メリヴェール卿シリーズ『ユダの窓』など、オールタイム・ベスト級の傑作を次々とものし、熱狂的な読者を獲得。〈不可能犯罪の巨匠〉と呼ばれる。77年没。