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人生の奇跡

J・G・バラード自伝

J・G・バラード
柳下毅一郎


人生の奇跡

ジャンル
ノンフィクション・その他 > 評伝・伝記
SF > 評論・研究
レーベル
キイ・ライブラリー

判型:四六判上製
ページ数:248ページ
初版:2010年10月29日

ISBN:978-4-488-01528-2
Cコード:C0095

写真:J・G・バラード、上海における幼少期の写真
装幀:岩郷重力+WONDER WORKZ。


内容紹介

死を目前にして、バラードは初めて自身の生を語った。
だれもが意外だった、怜悧な作家の、人間愛に満ちたまなざし。

英国を代表するSF作家バラードは、1930年に上海の国際共同租界で生まれた。魔都上海で過ごした幼少時代、日本軍の敵国人収容所に抑留された少年時代、解放後に初めて足を踏み入れた母国イギリス。そこで妻と出会い、作家としてデビュー。妻の急逝後は独力で三人の子供を育てた。『沈んだ世界』『結晶世界』に代表される、内宇宙(イナー・スペース)を追求した傑作を著し、SFの新しい波(ニュー・ウェーヴ)運動の旗手として活躍した鬼才が、その創作の源流とも言える実人生における様々なエピソードを明かす唯一の自伝。訳者あとがき=柳下毅一郎


目次

第1部
上海生まれ(一九三〇)
日本の侵略(一九三七)
欧州大戦(一九三九)
両親
真珠湾攻撃(一九四一)
ほか

第2部
雄々しく耐える(一九四六)
ケンブリッジ・ブルース(一九四九)
叫ぶ教皇たち(一九五一)
決定的出会い(一九五三)
人生の奇跡(一九五五)
ほか



J・G・バラード

英国を代表する作家。1930年、上海生まれ。「人間が探求しなければならないのは、外宇宙(アウター・スペース)ではなく、内宇宙(インナー・スペース)だ」として、SFの新しい波(ニュー・ウェーブ)運動の先頭に立った。終末世界を独自の筆致で美しく描き出した〈破滅三部作〉と呼ばれる『沈んだ世界』『燃える世界』『結晶世界』や、濃縮小説(コンデンスト・ノベル)と自ら名づけた手法で書き上げた短編を発表し、その思弁性が多くの読者を魅了した。『太陽の帝国』はスピルバーグ監督、『クラッシュ』はクローネンバーグ監督、『ハイ・ライズ』はベン・ウィートリー監督によって映画化された。他の著作に《J・G・バラード短編全集》全5巻、『殺す』『コカイン・ナイト』『人生の奇跡J・G・バラード自伝』など。2009年没。


柳下毅一郎

(ヤナシタキイチロウ )

翻訳家、映画批評家。1963年、大阪府生まれ。東京大学工学部卒業。著作に『愛は死より冷たい──映画嫌いのための映画の本』『シネマ・ハント──ハリウッドがつまらなくなった101の理由』などがある。主な訳書はJ・G・バラード『クラッシュ』、ニール・ゲイマン『ネバーウェア』、R・A・ラファティ『地球礁』『宇宙舟歌』、ジーン・ウルフ『ケルベロス第五の首』『デス博士の島その他の物語』(共訳)、アラン・ムーア&エディ・キャンベル『フロム・ヘル』など。