当たり前のように行き来する駅は、いつも変わらずそこで私たちを迎えてくれます。旅の始まりと終わりを見届け、行く場所であり帰る場所ともなる、駅とは不思議存在です。浜松、西宮、札幌、唐津、明洞、ポルト──六つの都市へ向かう列車で、あるいは辿り着いた先で、どのような景色が待っているでしょうか。あなたを“旅の非日常”へと誘う、文庫オリジナル・アンソロジー。
砂村かいり「きみは湖」
朝倉宏景 「そこに、私はいなかった。」
君嶋彼方 「雪花の下」
松崎有理 「東京駅、残すべし」
額賀澪 「明洞発3時20分、僕は君に撃たれる」
鳥山まこと「辿る街の青い模様」
砂村かいり
(スナムラカイリ )2020年『炭酸水と犬』『アパートたまゆら』で第5回カクヨムWeb小説コンテスト恋愛部門〈特別賞〉を二作同時受賞してデビュー。他の著書に『黒蝶貝のピアス』『苺飴には毒がある』『マリアージュ・ブラン』『コーヒーの囚人』がある。
朝倉宏景
(アサクラヒロカゲ )1984年東京都生まれ。2012年『白球アフロ』で第7回小説現代長編新人賞奨励賞を受賞してデビュー。18年『風が吹いたり、花が散ったり』が第24回島清恋愛文学賞を受賞。他の著書に『つよく結べ、ポニーテール』『あめつちのうた』『エール 夕暮れサウスポー』『ゴミの王国』『死念山葬』などがある。
君嶋彼方
(キミジマカナタ )1989年東京都生まれ。2021年『君の顔では泣けない』で第12回小説野生時代新人賞を受賞してデビュー。他の著書に『夜がうたた寝してる間に』『一番の恋人』『春のほとりで』がある。
松崎有理
(マツザキユウリ )1972年茨城県生まれ。東北大学理学部卒。2010年「あがり」で第1回創元SF短編賞を受賞。著書に『シュレーディンガーの少女』『山手線が転生して加速器になりました。』『イヴの末裔たちの明日』などがある。
http://yurimatsuzaki.com/
額賀澪
(ヌカガミオ )1990年茨城県生まれ。日本大学芸術学部卒。2015年『ヒトリコ』で第16回小学館文庫小説賞、『屋上のウインドノーツ』で第22回松本清張賞を受賞しデビュー。吹奏楽やスポーツを題材とした青春小説、お仕事小説など多彩なジャンルの書き手として注目を集める。また、出版業界の内状に切り込んだノンフィクション『拝啓、本が売れません』も評判となる。著作は他に『タスキメシ』『競歩王』『沖晴くんの涙を殺して』『モノクロの夏に帰る』『転職の魔王様』『世界の美しさを思い知れ』『夜と跳ぶ』『願わくば海の底で』などがある。
鳥山まこと
(トリヤママコト )1992年兵庫県生まれ。2023年「あるもの」で第29回三田文學新人賞を受賞。建築士として活動しながら小説やエッセイを執筆、他の作品に「欲求アレルギー」(〈三田文學〉2024年春号)や「アウトライン」(〈群像〉2024年11月号)などがある。