●林あまり氏推薦――「死にたいとき、読んでほしい。力をくれる。」
地球は国連事務総長モリナーリの指揮のもと、星間戦争の渦中にある。モリナーリは、死してなお蘇り、熱弁をふるい人々を鼓舞する最高権力者だった。人工臓器移植医エリックは、ある日モリナーリの専属担当を要請される。そしてエリックの妻キャサリンは、夫との不和から禁断のドラッグJJ180を服用してしまい、時間と空間が交錯しはじめる。訳者あとがき=寺地五一
フィリップ・K・ディック
アメリカの作家。1928年生まれ。1952年に短編作家として出発し、その後長編を矢つぎばやに発表、「現代で最も重要なSF作家の一人」と呼ばれるまでになる。ゆるぎない日常社会への不信、崩壊してゆく現実感覚を一貫して描き続けた。代表作に『ユービック』『火星のタイム・スリップ』『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』『スキャナー・ダークリー』『ヴァリス』など。1982年歿。