戦の末に敵国の奴隷となり、身も心もぼろぼろになって故国チャリオンに戻ってきたカザリル。運良く少年の頃に仕えたバオシア藩で、国主の妹イセーレの教育係兼家令に任ぜられた。だが安らぎも束の間、イセーレは弟と共に宮廷に出仕することに……。一方、宮廷では、国主は名ばかりの存在。宰相と弟が権力をほしいままにしていた。カザリルは権謀術数渦巻く宮廷で、イセーレを護ることができるのか? ビジョルドのファンタジー開幕。
ロイス・マクマスター・ビジョルド
1949年アメリカ生まれ。86年にデビューしたのち、 わずか数年でヒューゴー賞、 ネビュラ賞をつぎつぎと受賞、 一躍その地位を確固たるものとした。 身体的ハンデをものともせず知略と大胆さで窮地に挑むマイルズ・ヴォルコシガンを主人公にした、 『戦士志願』 に始まるスペースオペラ・シリーズが絶大な人気を博しており、2017年には同シリーズがヒューゴー賞シリーズ部門を受賞した。
鍛治靖子
(カジヤスコ )東京女子大学文理学部心理学科卒。翻訳家。訳書に、クレメント『20億の針』、ニューマン『ドラキュラ紀元』、ビジョルド『スピリット・リング』、アシモフ『銀河帝国の興亡』他多数。