●鮎川哲也氏推薦――「中町信氏は本格物の技巧を身につけた数少ない新人の一人で(中略)この長編第一作においても、たとえば探偵役の男女が疑惑の人物をチェックしていく過程に、テクニックが縦横に発揮されている」
7月7日午後7時、服毒死を遂げた新進作家、坂井正夫。その死は自殺として処理されるが、親しかった編集者の中田秋子は、彼の部屋で行きあわせた女性の存在が気になり、独自に調査を始める。一方、ルポライターの津久見伸助は、坂井の死を記事にするよう雑誌社から依頼され調べを進めるうちに盗作疑惑に直面し、確執のあった編集者を追及していく。著者が絶対の自信を持って仕掛ける超絶のトリック。デビュー長編『新人賞殺人事件』の改稿決定版! 初版あとがき・創元推理文庫版あとがき=中町信/解説=濱中利信
中町信
(ナカマチシン )1935年1月6日、群馬県生まれ。早稲田大学文学部卒。出版社勤務のかたわら、67年から雑誌に作品を発表。第17回江戸川乱歩賞の最終候補に残ったのが、初長編の『模倣の殺意』である。以降、叙述トリックを得意とし、『空白の殺意』『天啓の殺意』『追憶の殺意』など、大がかりなトリックで読者を唸らせた。2009年6月17日逝去。