そもそもはオレたちが柏屋デパートの幽霊屋敷で首吊り死体に遭遇したことから始まった。ところが警察が駆けつけたときには、死体は雲散霧消。おかげで警察でこってり絞られることになる。ようやく取り調べから解放されてホッとしたのもつかの間、大安の日ごとに現れてはつまらない物を盗む代わりに稲穂を残していく不思議な幽霊泥棒に悩まされることに……。ふつうだったら受験勉強に忙しいはずのオレたちも、ご近所でこうも面白いことが頻発しては指をくわえているわけにはいかず、天才棋士を探偵役に押し立てて、事件の解明に乗り出すが?! 雑誌連載のまま単行本化されなかった幻のシリーズ第三話が装いも新たに甦る!
戸松淳矩
(トマツアツノリ )1952年京都府生まれ。学習院大学卒。79年『名探偵は千秋楽に謎を解く』でデビュー。長い沈黙の後、2004年に大作『剣と薔薇の夏』を上梓し、 同書で第58回日本推理作家協会賞を受賞。 著作は他に『名探偵は九回裏に謎を解く』『名探偵は最終局に謎を解く』。