大学在学中、雑誌〈宝石〉の懸賞に「X橋付近」を投じ一位入選、江戸川乱歩の絶賛を受けデビューする。以来、「賭ける」「淋しい草原に」「ラ・クカラチャ」などの傑作を発表し、日本ハードボイルドの礎を築いた伝説の作家の作品を集成する《高城高全集》。第1巻は、北海道で勃発した天陵丸沈没事件の謎を、不二新報の支局長・江上武也が追う、著者唯一にして幻の長編。初文庫化。
高城高
(コウジョウコウ )1935年北海道函館市生まれ。東北大学文学部在学中の1955年、日本ハードボイルドの嚆矢とされる『宝石』懸賞入選作「X橋付近」でデビュー。大学卒業後は北海道新聞社に勤めながら執筆を続けたが、やがて沈黙。2006年『X橋付近 高城高ハードボイルド傑作選』で復活を遂げた。他の著書に『微かなる弔鐘』。08年、『墓標なき墓場』を第1巻とする〈高城高全集〉全4巻(創元推理文庫)が刊行された。