●東直己氏推薦――「消え果てた、煌びやかな夜。国全体が浮かれ騒ぎ、盛り場がずっとずっと華やかだったあの頃。あの夜の香り、ざわめきが、切なくよみがえる。」
1980年代、空前の好景気に沸く札幌・ススキノ──。クラブ経営を夢見るホステスが巻き込まれた奇妙な事件、地上げ騒動の陰に暗躍する女、望むものはすべて手に入れられる実業家のとてつもない浪費の顛末、そしてその莫大な金に群がる政治がらみの男たち――。キャバレー〈ニュータイガー〉の敏腕黒服・黒頭悠介が邂逅する、男と女の群像劇。やがて消えゆくバブルという名の徒花の時代を練達の筆致で描きあげる、著者にしか書き得ない物語。著者あとがき=高城高
高城高
(コウジョウコウ )1935年北海道函館市生まれ。東北大学文学部在学中の1955年、日本ハードボイルドの嚆矢とされる『宝石』懸賞入選作「X橋付近」でデビュー。大学卒業後は北海道新聞社に勤めながら執筆を続けたが、やがて沈黙。2006年『X橋付近 高城高ハードボイルド傑作選』で復活を遂げた。他の著書に『微かなる弔鐘』。08年、『墓標なき墓場』を第1巻とする〈高城高全集〉全4巻(創元推理文庫)が刊行された。