無実の罪で投獄された男は、十年ぶりにかつての仲間の前に現れた――メランコリックな詩情が横溢する「札幌に来た二人」ほか、非情な結末を乾いた文章で綴ったサスペンスフルな表題作など全14編を収録。全集第4巻は「ある誤報」「ネオンの曠野」「上品な老人」「穴無し熊」「北の罠」など、雑誌に掲載されたまま今日まで書籍化されていなかった幻の作品を多数集めたファン垂涎の書。著者あとがき=高城高/解説=池上冬樹
*讀賣新聞11月30日(日)書評欄「本よみうり堂」内のコーナー「ポケットに1冊」で(律)氏により紹介。
「踏切」
「ある誤報」
「ホクロの女」
「風への墓碑銘」
「札幌に来た二人」
「気の毒な死体」
「風の岬」
「飛べない天使」
「ネオンの曠野」
「星の岬」
「上品な老人」
「穴無し熊」
「北の罠」
「死ぬ時は硬い笑いを」
高城高
(コウジョウコウ )1935年北海道函館市生まれ。東北大学文学部在学中の1955年、日本ハードボイルドの嚆矢とされる『宝石』懸賞入選作「X橋付近」でデビュー。大学卒業後は北海道新聞社に勤めながら執筆を続けたが、やがて沈黙。2006年『X橋付近 高城高ハードボイルド傑作選』で復活を遂げた。他の著書に『微かなる弔鐘』。08年、『墓標なき墓場』を第1巻とする〈高城高全集〉全4巻(創元推理文庫)が刊行された。