― 短編集―
表題作のほか「動かぬ鯨群」「三狂人」「燈台鬼」や幻の海洋奇譚「人間燈台」など、探偵小説の醍醐味を満喫させる「新青年」切っての本格作家大阪圭吉の傑作十一篇と初出時の挿絵を収録。
その名も高い「とむらい機関車」を始め「デパートの絞刑吏」「白鮫号の殺人事件」「あやつり裁判」といった名探偵青山喬介の全活躍譚など、本格探偵作家の傑作9編ほかエッセイ。挿絵附。
久しく鳴りを潜めていた怪盗が、最愛の伴侶を右腕にして復活する日が来た。意気揚々と金満家の邸宅に乗り込んだが、相次ぐ番狂わせに進退窮まり……表題作など12編。
わたしが結婚し、そしてこの手で殺した男は、背が高くて東大出だった――理想と見えた結婚生活の破綻を語る衝撃の手記「背が高くて東大出」など10編。
弁護士事務所に出向した探偵社の社員が勝ち味の薄い難件に直面、やたら不利な情況証拠と人手不足の上に手弁当を強いられ、果ては女難にあえぎつつ東奔西走する中編「雲の中の証人」など9編。
ある男の殺害期成同盟を結んだ4名の目論見と決行の実際を描く「われら殺人者」、最後の一行へ見事に収斂する緊迫感に満ちた佳品「崖下の家」など11編。
「深夜の獣魂病者」から「消しゴムお蝶」まで、二十世紀と共に生きた推理文壇の最長老渡辺啓助の全業績から選び抜いた十九編。……
4時起きで仕事に向かう拾い屋コンビがとんでもない収穫に出会す騒動記「星を拾う男たち」や、旧〈宝石〉終刊号を飾った“史上最も完全な予告殺人”を描く「極楽案内」など11編。
生誕100年を記念した100部限定の特装本。着物地を使用し、金属プレート印刷を埋め込んだ表紙は、1冊1冊趣を異にし味わい深い。それをサヤ形式の函に収めた。著者近年のリトグラフ一葉、サイン、限定番号入り。
会社帰りの電車で思いも寄らない再会を果たした二人が織り成す、少々雲行きの怪しい友情――腐れ縁の行方を軽快な筆致で描く「親友記」など9編。
古書ブーム絶頂期を回想する「展覧会の客」、コレクター気質を垣間見せる「『憂鬱な愛人』事件」、電子検索をテーマに描く「電網恢々事件」の3編を収録。
婚礼から半年、夜ごと人目を忍んで夫が逢瀬を重ねる相手とは! 悋気に狂わんばかりの妻は……。
没後三十年を経てなお新たな読者をも引きつけて離さない江戸川乱歩。初期活動の一端を窺う短編集を『人でなしの恋』と同時刊行。
江戸川乱歩の自選短編十一編のそれぞれに棟方志功がオリジナルの版画を作製した幻の豪華本。
デビュー間もない時期に発表された「二癈人」を筆頭に、ご存じ明智小五郎が初めて登場した記念すべき「D坂の殺人事件」から、戦後の名品「防空壕」に至る全10編を、初出誌の挿絵を付してお届けする。
検事から弁護士への道を歩んだ浜尾四郎は、処女作「彼が殺したか」以来、その怜悧な理智と懐疑の目で、「殺された天一坊」「悪魔の弟子」など印象深い短編を多く残している。また……
日本探偵小説の嚆矢といえる黒岩涙香の「無惨」に始まり、翻訳、研究にも大きな足跡を残した小酒井不木の「闘争」ほかの代表作を配し、乱歩・宇陀児と並ぶ三羽烏……
溢れる奇想を独自の筆致で描いた夢野久作。ここには小説における代表的業績を収めた。短編「瓶詰の地獄」は、構成の妙が読者を圧倒する珠玉作。中編「氷の涯」における北の港……
大乱歩の歩みはそのまま日本探偵小説の歩みであった。「二銭銅貨」による衝撃的登場以来、その紡ぎ出す幻想の糸は絶えず読者を捕えてきた。本巻には「屋根裏の散歩者」……