虚空に黒の光芒を放つ巨星ラヴクラフト。Uボートの艦長が深海の底でアトランティスに遭遇する「神殿」、医学生のおぞましい企てを描く「死体蘇生者ハーバート・ウェスト」、セイレムの魔女裁判の史実を巧みに取り込んだ「魔女の家の夢」等、クトゥルー神話の母胎たる全8編を収録した。巻末に、資料「『ネクロノミコン』の歴史」を付す。訳者あとがき=大瀧啓裕
「神殿」
「ナイアルラトホテップ」
「魔犬」
「魔宴」
「死体蘇生者ハーバート・ウェスト」
「レッド・フックの恐怖」
「魔女の家の夢」
「ダニッチの怪」
「『ネクロノミコン』の歴史」
H・P・ラヴクラフト
アメリカの作家。1890年生。ロバート・E・ハワードやクラーク・アシュトン・スミスとともに、怪奇小説専門誌〈ウィアード・テイルズ〉で活躍したが、生前は不遇だった。1937年歿。死後の再評価で人気が高まり、現代に至っても、なおカルト的な影響力を誇っている。旧来の怪奇小説の枠組を大きく拡げて、宇宙的恐怖にまで高めた〈クトゥルー神話大系〉を創始した。《ラヴクラフト全集》で、その全貌に触れることができる。
大瀧啓裕
(オオタキケイスケ )1952年、大阪市生まれ。著書に『魔法の本箱』『エヴァンゲリオンの夢』、訳書にラヴクラフト『文学における超自然の恐怖』、ラッセル『悪魔の系譜』、スミス『ゾティーク幻妖怪異譚』『ヒュペルボレオス極北神怪譚』『アヴェロワーニュ妖魅浪漫譚』、オブライエン『金剛石のレンズ』、ウィルスン〈始末屋ジャック〉シリーズ他多数。