孤独を抱えていた了はある日、人形作家邸の敷地内に捨てられた人形に心を奪われる。だが、人形はその場で、エキセントリックな人形作家・如月まゆら自らの手で壊されてしまう。諦めきれず修復した了の目の前に、人形に生き写しの女優・聖(ひじり)が現れ……。天才的な人形作家、人形を溺愛する青年、人形になりきろうとする女優、彼女のパトロン。彼女らが邂逅するとき、何が起きるのか。著者あとがき=加納朋子/解説=千街晶之
加納朋子
(カノウトモコ )1966年福岡県生まれ。文教大学女子短期大学部卒。92年『ななつのこ』で第3回鮎川哲也賞を受賞しデビュー。95年「ガラスの麒麟」で第48回日本推理作家協会賞を、2008年『レインレイン・ボウ』で第1回京都水無月大賞を受賞。主な著書に〈駒子〉シリーズのほか『掌の中の小鳥』『いつかの岸辺に跳ねていく』『二百十番館にようこそ』『空をこえて七星のかなた』などがある。