第75回日本推理作家協会賞評論・研究部門

タンペンミステリノニヒャクネン6

短編ミステリの二百年〈6〉

レンデル、ブランド
小森収
白須清美 他訳


短編ミステリの二百年〈6〉

ジャンル
海外ミステリ > アンソロジー
レーベル
創元推理文庫(M)

判型:文庫判
ページ数:606ページ
初版:2021年12月24日

ISBN:978-4-488-29907-1
Cコード:C0197
文庫コード:M-ン-7-6

装画:柳智之
装幀:中村聡


内容紹介

*第75回日本推理作家協会賞【評論・研究部門】受賞作

最終巻にはレンデル、ハイスミスといった作家の秀作や、イギリスで存在感を示した書き下ろしアンソロジー〈ウィンターズ・クライム〉の優品、MWA短編賞作家の傑作など全12編を収録する。編者が20世紀最高の短編ミステリとするブランド「ジェミニー・クリケット事件」は、史上初めてアメリカ版とイギリス版を2編同時に収めた。前代未聞のアンソロジーにして評論書ここに完結。


目次

「終(つい)のすみか」ジョイス・ハリントン 藤村裕美訳
「しがみつく女」ルース・レンデル 白須清美訳
「交通違反」ウィリアム・バンキア 直良和美訳
「拳銃所持につき危険」ジェフリイ・ノーマン 門野集訳
「またあの夜明けがくる」パトリシア・ハイスミス 直良和美訳
「パパの番だ」ジェイムズ・マクルーア 白須清美訳
「バードウォッチング」デイヴィッド・ウィリアムズ 藤村裕美訳
「最期の叫び」マイクル・コリンズ 門野集訳
「アッカーマン狩り」ローレンス・ブロック 門野集訳
「家族の輪」スタンリイ・エリン 猪俣美江子訳
「ジェミニー・クリケット事件〈アメリカ版〉」クリスチアナ・ブランド 深町眞理子訳
「ジェミニー・クリケット事件〈イギリス版〉」クリスチアナ・ブランド 深町眞理子訳
  *
「短編ミステリの二百年」小森収
 第十五章 MWA賞の凋落とクライムストーリイの行方
  1 七〇年代のMWA短編賞
  2 七〇年代クライムストーリイのエース1――ジョイス・ハリントン
  3 七〇年代クライムストーリイのエース2――ルース・レンデル
  4 クライムストーリイの後継者たち
  5 七〇年代クライムストーリイのもう一方の旗手――ローレンス・ブロック
  6 凋落の始まり
 第十六章 ウィンターズ・クライムとアンソロジーの時代
  1 ふたつのアンソロジーの間に
  2 ウィンターズ・クライム輸入前史
  3 ブリティッシュ・クライムストーリイの活況
  4 パズルストーリイ作家たちのウィンターズ・クライム
  5 「バードウォッチング」の指し示すこと
 第十七章 シリーズキャラクターの功罪
  1 七〇年代初頭の短編パズルストーリイ状況
 2 ネオハードボイルド邦訳の背景
  3 ダン・フォーチュン――ハードボイルド最後のサムライ
  4 ローレンス・ブロックのシリーズキャラクター
  5 ネオハードボイルドを超える可能性――V・I・ウォーショースキー
  6 シリーズキャラクターの時代のMWA賞――ローレンス・ブロックと殺し屋ケラー
  7 二十一世紀に入ったエドガー
 幕間 個人短編集翻訳の盛衰
 第十八章 残りの二十年に向けて
  1 晩年のパトリシア・ハイスミス
  2 屹立する作家の肖像ACT3
  3 クリスチアナ・ブランドの軌跡
 終章 誰が謎を解いたのか
  1 「ジェミニー・クリケット事件」のふたつのヴァージョン
  2 ふたつの「ジェミニー・クリケット事件」1――その結末
  3 ふたつの「ジェミニー・クリケット事件」2――その冒頭
  4 ふたつの「ジェミニー・クリケット事件」3――ヘレンに触れられること
  5 そして誰も解かなかった
  6 Get over
  7 結び


小森収

(コモリオサム )

編集者、評論家、作家。1958年福岡県生まれ。大阪大学人間科学部卒業。演劇評論家、文芸書の編集者として活動するほか書評・ミステリ評論の分野でも精力的に活躍する。主な著書・編書に『小劇場が燃えていた』『はじめて話すけど…』『本の窓から』『都筑道夫 ポケミス全解説』、小説の著作に『終の棲家は海に臨んで』『土曜日の子ども』がある。2022年、三世紀にわたる短編ミステリの歴史を俯瞰したアンソロジー&評論書『短編ミステリの二百年』(全6巻)で第75回日本推理作家協会賞および第22回本格ミステリ大賞(ともに評論・研究部門)を受賞。