【本屋大賞翻訳小説部門第1位】
一生愛しつづけると誓った妻を殺めた老医師。兄を救うため法廷中を騙そうとする犯罪者一家の末っ子。エチオピアの寒村を豊かにした、心やさしき銀行強盗。──魔に魅入られ、世界の不条理に翻弄される犯罪者たち。弁護士の著者が現実の事件に材を得て、異様な罪を犯した人間たちの真実を鮮やかに描き上げた珠玉の連作短篇集。2012年本屋大賞「翻訳小説部門」第1位に輝いた傑作! 解説=松山巖
「序」
「フェーナー氏」
「タナタ氏の茶碗」(碗は旧字)
「チェロ」
「ハリネズミ」
「幸運」
「サマータイム」
「正当防衛」
「緑」
「棘」
「愛情」
「エチオピアの男」
フェルディナント・フォン・シーラッハ
1964年ドイツ、ミュンヘン生まれ。ナチ党全国青少年最高指導者バルドゥール・フォン・シーラッハの孫。1994年からベルリンで刑事事件弁護士として活躍する。デビュー作である『犯罪』(2009)が本国でクライスト賞、日本で2012年本屋大賞「翻訳小説部門」第1位を受賞した。その他の著書に『罪悪』(2010)、『コリーニ事件』(2011)、『カールの降誕祭(クリスマス)』(2012)、『禁忌』(2013)、『テロ』(2015)、『珈琲と煙草』(2019)、Nachmittage (2022)などがある。
http://www.schirach.de/
酒寄進一
(サカヨリシンイチ )ドイツ文学翻訳家。和光大学教授。主な訳書に、コルドン〈ベルリン三部作〉、ヘッセ「デーミアン」、フォン・シーラッハ「犯罪」「神」、ノイハウス「深い疵」、カシュニッツ「その昔、N市では」、ラーベ「17の鍵」などがある。