新米弁護士のライネンは大金持ちの実業家を殺した男の国選弁護人を買ってでた。だが、被疑者はどうしても動機を話そうとしない。さらにライネンは被害者が少年時代の親友の祖父だと知る。──公職と私情の狭間で苦悩するライネンと、被害者遺族の依頼で裁判に臨む辣腕弁護士が法廷で繰り広げる緊迫の攻防戦。犯人を凶行に駆り立てた秘めた想い。そして、ドイツで本当にあった驚くべき“法律の落とし穴”とは。刑事事件弁護士が研ぎ澄まされた筆で描く圧巻の法廷劇。 訳者あとがき=酒寄進一
*第4位『週刊文春 2013年ミステリーベスト10』海外編
*第8位『ミステリが読みたい!2014年版』海外編
*第16位『このミステリーがすごい!2014年版』海外編
フェルディナント・フォン・シーラッハ
1964年ドイツ、ミュンヘン生まれ。ナチ党全国青少年最高指導者バルドゥール・フォン・シーラッハの孫。1994年からベルリンで刑事事件弁護士として活躍する。デビュー作である『犯罪』(2009)が本国でクライスト賞、日本で2012年本屋大賞「翻訳小説部門」第1位を受賞した。その他の著書に『罪悪』(2010)、『コリーニ事件』(2011)、『カールの降誕祭(クリスマス)』(2012)、『禁忌』(2013)、『テロ』(2015)、『珈琲と煙草』(2019)、Nachmittage (2022)などがある。
http://www.schirach.de/
酒寄進一
(サカヨリシンイチ )ドイツ文学翻訳家。1958年生まれ。和光大学教授。主な訳書――2012年本屋大賞「翻訳小説部門」第1位のシーラッハ『犯罪』、2021年日本子どもの本研究会第5回作品賞特別賞を受賞したコルドン〈ベルリン三部作〉、ヘッセ『デーミアン』、ブレヒト『アルトゥロ・ウイの興隆/コーカサスの白墨の輪』、ケストナー『終戦日記一九四五』、ノイハウス〈刑事オリヴァー&ピア・シリーズ〉。