〈ヴェルヌ歿後100年記念〉189X年、アメリカ政府は北極の未発見の地域を各国間で競売にかけるという突拍子もないことを思いついた。アメリカは北極実用化協会という謎の団体を代理人に立てるが、これこそは20年前、『月世界へ行く』で人類初の月旅行を成功させた大砲クラブの仮の姿だった。みごと落札に成功した彼らだが――その途方もない真の目的とは? 大ヴェルヌが贈る、まさに驚天動地、奇想天外なSFの粋。解説=牧眞司
ジュール・ヴェルヌ
フランスの作家。1828年生、1905年歿。はじめ劇作家を志すが、『気球に乗って五週間』の発表で大成功を収め、一躍流行作家となった。ウェルズ、ドイルと並び称される現代SFの開祖である。代表作とも言える『海底二万里』『月世界へ行く』『八十日間世界一周』をはじめとして、生涯に80あまりの小説を発表。彼が描く未来予見と驚異の旅は、古今東西の名作群の中で今なお輝きを放っている。