永遠の名作『銀河英雄伝説』を愛してやまぬ作家陣が、正伝・外伝では語られなかったエピソードを紡ぎ出す。ラインハルトの新婚旅行で起きた椿事、ヤン・ウェンリーの青春時代の思い出、安楽椅子探偵オーベルシュタインの名推理……。新しい『銀河英雄伝説』の世界へようこそ。公式トリビュート第1弾。序文=田中芳樹/収録作家=石持浅海・太田忠司・小川一水・小前亮・高島雄哉・藤井太洋
小川一水
「竜神滝(ドラッハ・ヴァッサーフェル)の皇帝陛下」
石持浅海
「士官学校生の恋」
小前亮
「ティエリー・ボナール最後の戦い」
太田忠司
「レナーテは語る」
高島雄哉
「星たちの舞台 」
藤井太洋
「晴れあがる銀河」
田中芳樹
(タナカヨシキ )1952年熊本県生まれ。学習院大学大学院修了。1978年「緑の草原に…」で幻影城新人賞を受賞しデビュー。1988年『銀河英雄伝説』で第19回星雲賞を受賞。代表作に『創竜伝』『マヴァール年代記』『アルスラーン戦記』《薬師寺涼子の怪奇事件簿》シリーズの他、『ラインの虜囚』など著作多数。
石持浅海
(イシモチアサミ )1966年愛媛県生まれ。九州大学卒。2002年、カッパ・ノベルスの新人発掘プロジェクト〈KAPPA-ONE〉第一期生として、『アイルランドの薔薇』でデビュー。特殊な状況設定下での端正な謎解きに定評がある。『扉は閉ざされたまま』『BG、あるいは死せるカイニス』『温かな手』『御子を抱く』『相互確証破壊』『身代わり島』など著作多数。
太田忠司
(オオタタダシ )1959年愛知県生まれ。 名古屋工業大学卒業。 81年、「帰郷」が「星新一ショートショート・コンテスト」で優秀作に選ばれる。 『僕の殺人』に始まる〈殺人三部作〉などで新本格の旗手として活躍。 2004年発表の『黄金蝶ひとり』で第21回うつのみやこども賞受賞。 〈少年探偵・狩野俊介〉〈探偵・藤森涼子〉〈ミステリなふたり〉など多くのシリーズ作品のほか、『奇談蒐集家』『星町の物語』『名古屋駅西 喫茶ユトリロ』など多数の著作がある。
小川一水
(オガワイッスイ )1975年、岐阜県生まれ。96年、『まずは一報ポプラパレスより』で第6回ジャンプ小説・ノンフィクション大賞を受賞しデビュー(河出智紀名義)、現在の筆名に変更後、2004年に『第六大陸』で、14年に『コロロギ岳から木星トロヤへ』でそれぞれ第35回、第42回星雲賞を受賞。20年に『天冥の標』で第40回日本SF大賞、第51回星雲賞を受賞。
小前亮
(コマエリョウ )1976年、島根県生まれ。東京大学大学院修士課程修了。2005年、『李世民』でデビュー。主な著書に『飛竜伝』『三国志』『中国皇帝伝』などがある。
高島雄哉
(タカシマユウヤ )1977年山口県宇部市生まれ。徳山市(現・周南市)育ち。東京都杉並区在住。東京大学理学部物理学科卒、東京藝術大学美術学部芸術学科卒。2014年、第5回創元SF短編賞を「ランドスケープと夏の定理」で受賞(門田充宏「風牙」と同時受賞)、2018年に、これを長編化した初の著書『ランドスケープと夏の定理』を上梓。同書は新人作家の第一作ながら『SFが読みたい!』で国内編第5位となり、2019年の星雲賞日本長編部門の候補となるなど高い評価を得た。また、2016年の劇場用アニメーション『ゼーガペインADP』ではSF考証を担当、以降『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』『ブルバスター』など多くの作品に参加している。『アニメのSF考証家が描く未来のカタチ 21.5 世紀 僕たちはどう生きるか?』は2020年第51回星雲賞ノンフィクション部門参考候補作に選出。
藤井太洋
(フジイタイヨウ )1971年鹿児島県奄美大島生まれ。国際基督教大学中退。2012年、電子書籍のセルフ・パブリッシングで発表した『Gene Mapper -core-』が注目を集め、13年に『Gene Mapper -full build-』として出版されデビュー。15年に『オービタル・クラウド』で第35回日本SF大賞を、19年に『ハロー・ワールド』で第40回吉川英治文学新人賞を受賞。