卒業したてでいよいよ今日が初飛行の宇宙船、ナンシア。乗客の若者たちは、いずれもこれから新しい赴任先へ向かう良家の子女に見えた。ところが彼らの会話はどうも尋常ではない。良家とは名ばかりで、その実、欲に目がくらみ悪事をたくらんでいるやくざな連中だったのだから。幸先の悪いスタートにナンシアはどう出る? シリーズ第四弾。
アン・マキャフリー
アメリカの作家。1926年生まれ。女性作家が繚乱するアメリカSF界でもナンバーワンの人気を誇る。女性を主人公とする情感溢れる物語づくりに定評があり、各種あるシリーズの中では≪パーンの竜騎士≫が有名だが、著者自身最も愛着があると語るのが、デビュー間もない頃に書いた『歌う船』である。宇宙船の身体をもつ一人の少女の冒険を綴った傑作連作集で、その後シリーズ化された。2011年没。
浅羽莢子
(アサバサヤコ )1953年生まれ。英米文学翻訳家。東京大学文学部卒。主な訳書にセイヤーズ『学寮祭の夜』、チャーチル『ゴミと罰』、マクラウド『納骨堂の奥に』、キャロル『死者の書』、ピーク『ゴーメンガースト』など多数。2006年歿。