解剖実習中、遺体の腹部から摘出された一本のチューブ。その中には、研究室の園部教授を告発し、脅迫する謎の四行詩がおさめられていた。教授を慕う助手の千紗都は犯人を突き止めようと密かに調査を始めるが、嘲笑うかのように次々と不気味な出来事が起こる。園部の研究室を狙うのは誰か。やがて驚愕の真実が……。大学医学部の暗部に迫る医学ミステリ。第16回鮎川哲也賞受賞作。解説=三橋暁
麻見和史
(アサミカズシ )1965年千葉県生まれ。立教大学文学部卒。2006年、『ヴェサリウスの柩』で第16回鮎川哲也賞を受賞しデビュー。リーダビリティある筆致によって、医学部解剖学教室で展開される壮大な復讐劇を描き、注目を集める。他の著作に『真夜中のタランテラ』がある。