書簡体形式などを用いた独自の文体で読者を幻惑する、怪奇探偵小説の巨匠・夢野久作。その入門にふさわしい四編を精選した、傑作集を贈る。ロシア革命直後の浦塩で語られる数奇な話「死後の恋」。虚言癖の少女、命懸けの恋に落ちた少女、復讐に身を焦がす少女の三人を主人公にした「少女地獄」ほか。不朽の大作『ドグラ・マグラ』の著者の真骨頂を示す、ベスト・オブ・ベスト! 解説=戸川安宣
「死後の恋」
「瓶詰の地獄」
「氷の涯」
「少女地獄」
夢野久作
(ユメノキュウサク )1889年福岡県生まれ。慶應義塾大学中退。1926年『新青年』の懸賞に二等入選した「あやかしの鼓」でデビュー。不朽の大作『ドグラ・マグラ』をはじめ、怪奇と幻想を湛えた作風で知られる。他の著作は「押絵の奇蹟」「犬神博士」「キチガイ地獄」など。1936年没。