《多島斗志之コレクション》
二之浦ゆり子は青年医師・里見に誘われ、瀬戸内海の小島巡りに同行するが、その際、ひとつの無人島を目にしたことで、過去の悪夢が甦る。彼女は15年前誘拐され、その島に放置されたことがあるのだ。里見と交際を始めたゆり子は、彼とともに過去の謎と向き合う決意を固めるが、浮かび上がってきたのは驚愕の真実だった。『症例A』の著者が贈る、ドラマとトリックが融合した傑作。解説=千街晶之
多島斗志之
(タジマトシユキ )1948年生まれ。早稲田大学卒。82年、多島健名義で執筆した「あなたは不屈のハンコ・ハンター」で第39回小説現代新人賞を受賞。85年『〈移情閣〉ゲーム』(別題『龍のプロトコル議定書』)で本格的にデビュー。89年に『密約幻書』、91年に『不思議島』がそれぞれ直木賞候補となる。『少年たちのおだやかな日々』『海賊モア船長の遍歴』『症例A』『離愁』『感傷コンパス』など著作多数。