まだ見ぬ父親に会うため秋庭邸を訪れた一登は、そこで言語能力を持たない弟に出会う。彼は言葉を話せない代わりに、聞くものの心を癒す〈天使の歌声〉を発することができた。その弟をめぐってある悲劇が起きる。そして6年後、1通の手紙によって一登はふたたび秋庭邸を訪れた。探偵・嶺原克哉が出合った6つの難事件。多重どんでん返しが魅力の連作集を文庫オリジナルで贈る。
*第4位『本の雑誌増刊・おすすめ文庫王国2007年度版』ジャンル別ベスト10・国内ミステリー(吉野仁氏選)
北川歩実
(キタガワアユミ )1995年、『僕を殺した女』でデビュー。論理的な作風とサスペンスフルな展開で注目される。主な著書に『透明な一日』『猿の証言』『金のゆりかご』『運命の鎖』『天使の歌声』などがある。